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アルバイトの帰り、夜道を歩いていると強い甘い香りがした。これはもしかして、と立ち止まって振り返る。キンモクセイだった。 夜だから花が咲いているのかはよくわからない。ポツポツと白色が見える気もした。遅い時間に見るキンモクセイは他の木に紛れながら、暗闇で息を潜めている。それなのに、その特徴的な甘い匂いは強く私の元に届いた。 秋になる。100円ショップにはハロウィンのグッズが多く取り揃えられ、バラエティーストアにはキンモクセイのハンドクリームや香水が並ぶ。スーパーに行って
年長者を敬いなさいと言われても、いまいちピンと来なかった。「ただ年を取っているだけ」で、尊敬の対象になるのか、幼い私には疑問だった。 そうやって言ってしまえば、きっと「恥知らず」だとか「若者はなっちゃいない」だとか叱られてしまいそうで、口に出すことはできなかった。 たぶん私は、「歳を重ねる」それ自体に価値を置くことの意味がわからなかったんだと思う。年数はどうであれ、その人がどういう人なのか、どういう経験をして、今どう生きているのか、それを見ることによって尊敬は生まれる
「短所はなんですか?」と聞かれたら、迷わず「飽き性なことです」と答える。それも極度の。 小さいときから飽き性で、何事も続かない性格だ。習い事も長くて3年続いたかどうかだし、不登校になったことも、ある意味学校に飽きてしまったのかもしれない。絶対やる、と言って結局やらなかったものがたくさんあって、今ではもう、そういう気質なんだと諦めがつく(だから高いものを買うのには誰かの意見を求めたりたくさん調べたり「ほんとにいるか?」の吟味が必要)。 たまに、すごくうらやましくなる。