見出し画像

「花」


やっぱりあなたに負けたくないと

私、何度も思うのです。

春の日差しの中で笑って

髪の毛を太陽に透かせば

魔法がかかってまるで

理想の女の子に、なれる。なれる。



結局あなたに勝てなかったと

私、噛み締めて泣くのです。

真冬の寒さは心にまで染みて

頰の暖かさに触れれば

それだけですぐに

溶けて壊れて、しまう。しまう。



やっぱりあなたが羨ましいと

私、ふと気付いたのです。

秋の夜風に身を投げて

もう忘れると決めてしまえば

どんなに楽なのか

落ち葉に隠して、忘れて、忘れて



結局あなたが妬ましいと

私、苦しくてしょうがないのです。

真夏の暑さに心まで溶かして

8月の夕立に降られれば

コンクリートの匂いに

あなたを浮かべては、また沈めて、沈めて


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?