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声を聴かせて<2>

ふたつ目の
コールセンター???

取り乱しているゆえ
常なら、詰問する場面なのに
疑問に思いつつも
必要に駆られて
会話を続けました

検索画面では
79000円~とあったので
料金を決めなければ
前に進みません

先方の話を聞いていると
基本で37万円・・!
とのこと

え?
いやいや
どうすれば
そんな金額になるのかを
教えてもらわなければ・・

基本だから、ここから
更に上がるということよね

なんだか
一気に冷静になりました

一種の「冷や水」
浴びせかけられた
感じです

何回もくどく聞いた結果
79000円とは
ご遺体を
そのまま火葬場に・・
そしてお骨で帰ってくる
何のお祈りも
別れの時間も無し

要するにコロナ禍で
発生した
方式みたいです

御坊様や神主様の
お祈りを火葬前に
捧げていただくと
それだけで
15万円ほど・・

あ!ぁぁぁ
いきなり倍増

祭壇を準備すると
37万円・・・

いやぁ
算出基準の根拠が
最後まで分かりませんでした

おまけに
お通夜に出す
「志」品や飲み物
葬儀当日の香典返しや弁当
祭壇の生花や供物
骨壺・棺桶の種類
諸々、どれだけかかるのか
ゆうに百万は軽く超えます

わかったことは
倍掛けで
増えていく金額の中に
二社のコールセンターへの
手数料が絶対に
含まれているということだ❕

悪いけど・・・
止めときます

そして自分の
おぼろな記憶から
自宅近くにある
「池田屋」さんという
斎場に直接、連絡しました

ここまで要した時間の中で
既に二回、看護師さんが
心配して様子を見に来てくれました

急がなくては・・
もうすぐ父の
清拭が終わるらしい

「池田屋」さんのお電話口は
落ち着いてゆっくりした
口調の男性でした

これまで親身を装いながらも
葬儀や財産の整理
お墓や納骨堂・不動産の売却など
ガンガンに立て板に水の
女性の早口に
イライラしていた私でしたが

ゆっくりとした口調に
逆に安心感を抱いたのでした

亡くなったのが父でしたので
男性のしっかりとした声に
安堵したのも確かです

そして
お電話で最初に
対応してくださった
池田屋さんの「平原部長」が
最後まで私どもの
葬儀の担当を
そのまま
務めて下さったのでした
(4/29情報ではなんと20代)

電話口での応対はこれまでと違いました

勿論、沈痛な声音での
お悔やみの言葉は
どなたも
おっしゃられますが

其のあと、私の話に
耳を傾けてくださったことに
心地よさすら覚えたのです

これまでは
質問攻めでしたから
同じことを聞かれると
構えていました

しかし、状況を簡易に説明し
急ぎ父の身体を
移さなければならない
時間が迫っている事

家族葬でひっそりと
行いたい希望

世間に
周知したくない希望など

低いけれど確かな「はい」で
頷くように聞いて
答えてくださいました

その時に父の最後を
執り行う実感を
ようやく、感じたのです

接する方でこんなにも
残された遺族の心情に
影響を及ぼすものかと
初めて気づきました

細かなことで絶対に
必要な事を提案下さり
私たちに無理のない範囲で
手配し、全てが揃うに要する時間
そのうえで
お迎えに来てくださる時間を
教えてくださったので
安心して
父に想いを馳せることが
できます

病院側にもその旨伝え
私と母は
父の待つ病室に
やっと、やっと
戻ることができます

きっと
寂しがっていたでしょう

お待たせしてごめんね
「おーちゃん、今行くよ」


本日も最後までご覧くださり
ありがとうございます

亀井速水




毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます