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「土地売り」に対し「建売業者」が思うこと。


おはようございます。

木曜日の7時ですので、不動産の仕入営業に向けて「ビジネスヒントになる記事」を書きます。

わたしは、土地を仕入れて戸建を開発して、エンドユーザーに新築一軒家を提供する建売業者です。

毎週、この活動を続けていると同時に、有料マガジンでは開発の苦悩やコツを発信していて、いまでは不動産投資家から仕入営業の新人さんまで、幅広い方に購読いただけるようになりました。

よければ、読んでみてください↓



都合のいい不動産企業


タイトルの通り、「土地売り」に対して「建売業者」のわたしが、最近おもっていることは、「仕事の目的を見失っていない?」ということです。

問題提起のまえに、前置きさせてください。

昨今

コロナショック、ウクライナショック、円安、少子高齢化などなど…社会問題が目につきまして、その影響からか、物価の上昇みたいなことが叫ばれるようになりました。

おかげさまで(?)

ゾンビ企業(金融支援により存在するが、経営破綻している会社)が増えたりだとか、建築資材の高騰だとかの影響で、不動産業界では「土地売り」が増えたように思います。

「土地売り」=古い家屋を解体して、更地の状態で一般消費者に売る形態

プロの不動産業者であるコチラ側でやることは、古い家屋を解体して、お隣との間にブロック塀を積むだけです。

なぜ、土地売りが増えたのでしょうか?
(データはありません。増えたと思うのは、あくまでわたしの肌感です。)

おそらく、「建築資材の高騰」と「景気の悪化」があります。

建築費があがったことで、不動産業者側で建築すると、まわりの戸建価格と比べて、高い仕上がりになってしまう。

ひとことで、相場価格ではない新築ができあがる

だから、土地で売り出して、「あとは、買い手さん側で、好きなように間取りを設計して、好きな家を建ててね」という売り方をしています。

また

土地で売れば、資金回収が早いというのも理由にあるでしょう。

不動産会社が土地を仕入れて、建築が完了するまで1年かかりますから、新築の一軒家を引き渡して、一般消費者からお金を回収するまでに、土地で売るよりも時間がかかるわけです。

土地売りが悪いとは、一概には言えません。

ただし

これらの要因で土地売りが増えているのであれば、「一般消費者に対して、商品提供の方法が雑だよね」と思うのです。

もっというと

企業側の都合で、面倒ごとを一般人に押し付けているよね、といえます。

たしかに、更地の状態で購入して、理想の間取りを、お金をかけて、こだわりの注文住宅を建てたい方にはいいけれど、「いやいや、お金をあまりかけずに一軒家に住みたいよ」という方もいるはずです。

というか、後者が圧倒的に多いでしょう。

企業努力を怠り、「土地のままで売っちまえばいいよな感」が否めない。

あらためて、(冒頭にも言いましたが)わたしは、「仕事の目的を見失っていない?」と思うわけです。


ビジネスパーソンとして


イケてるビジネスパーソンは、「何が相手(社会)にとって、価値になるのか」を理解しており、常にその価値を提供しています。

人々が思う「こうあってほしい」「これが不満に思う」みたいなことを解決したり提案したりして、「役にたったよ!ありがとう!」とか「困っていたとが解決してよかった!」と思われて、はじめて対価(お金)をいただくわけです。

ただ

一人ではできることに限界があるので、組織(集団)のチカラを利用して、不可能なことを実現するんですね。

ここでいうところの、建売事業です。

「家にこだわりなんていらないよ。」とか「間取りの打ち合わせに時間を使えない」とか「とにかく、早く、一軒家に引っ越したいよー」というニーズに応えるために、わたしたち建売業者がいます。

経営状態は百歩譲ったとして…「建築費用が上がったから」という理由で土地売りばかりしているようでは、「あなたは何のために仕事をしているのか?」と問いたくなります。

だって

古い家屋を壊して、更地で売り出すことなんて、一般人でもできることですから。

誰でもできます。

土地売りばかりでは、ビジネスパーソンとして価値提供しているとは言えませんし、つまるところ、そんなビジネスで企業は成長しません。

企業成長につながらないのは、つまり、対価が増えないということなので、ビジネスパーソンとして稼げないという結果につながるのです。


建売の需要とは?


もう少し、わかりやすく、建売の需要について説明します。

建売の購入者に、こんな人がいました。

購入者:「じつは、家族の一人が事件を起こしてしまい、近所でもニュースが耳に入って、悪い評判がたつようになってしまいました。」

近所から、変な目で見られるようになってしまったとのことで、悪人に加担するわけじゃないですが、こういう時に、建売はニーズを満たします。

この購入者さんは、すぐにでも引っ越しをしたいわけで、こだわりの注文住宅を打ち合わせしている場合じゃありません。

購入者:「小さい子供もいるから、マンションよりも戸建がいいわ。あと、ご近所が”仲良しじゃない”ほうが助かるわ。」

ご近所が”仲良しじゃないほうが助かる”とは、珍しいことを言っているようですが、事件を起こしてしまった手前、噂が広まりやすい昔からの住宅街は避けたいところですね。

この場合

新築の建売現場であれば、近所には引っ越してきた新参者しかいないわけで、既存のご近所コミュニティが形成されていません。

購入者からすると、願ったり叶ったりなんです。

この例は稀ですけど、やっぱり建売って必要で、「子供がいじめられたから、環境を変えてあげたい」とか「有名な売れっ子になってしまったから、人目につかない一軒家に住みたい」とか、「離婚したから、すぐにでも引っ越したい」とか、すでに新築が存在している状態って、おおくの人のニーズを満たすんですよね。

建売って、「安価だから」のほかにも「出来上がっている」「タイミングがいい」という購入理由もあるんです。


まとめ


全てが土地売りとなると、やはり多くの人が困ります。

不動産のプロであるわたしたちは、もう少し、一般人にはできない建売事業というものにプライドをもってはいいのではないでしょうか?

では、また来週!

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