井内谷取水設備(仮、いのうち、徳島県三好市)

●概要
一級河川吉野川水系井内谷川、四国電力松尾川第二発電所の2基ある取水堰堤の1。
竣功：1953年?　　型式：G?　　
目的：P(合計最大取水6.3㎥/s・有効落差392.77m・最大出力21,400kW)
堤高：?m　　堤頂長：?m
流域面積：?k㎡　　湛水面積：?k㎡
総貯水容量：?万㎥　　有効貯水容量：?万㎥

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●見学情報
駐車場：無　トイレ：無　自販機：無　天端：途中まで可　直下：不可
※道中ダート・落石・隘路・急坂多し。

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●道中

松尾川第二発電所、井内谷調整池。

初めの訪問においては下記の疑問が残り、
1, 上の四電写真に映る右岸注水の正体。
2, 松尾川第二発電所のもう一つの取水地の在処。
・・・二度目の訪問でも直下に辿り着きこそしたものの、自分なりの結論は出ず、だった。
斯くして三度目の正直、今回の物色に至った。

(地理院地図より引用加筆)
当初、上記疑問x2を解決するのはまさに上写真の謎注水であろうと確信しており、手書きした谷筋のどこかに堰堤を設けて調整池に注水、というこれまでも割と見てきたパターンだと考えていた。

ところがどっこい・・・想定していなかった謎設備が目の前に現れる。
位置的には謎注水のちょうど東、少し上がった所。

何やら管が2本出ている。

2本の管は巡視路を潜り…

管はその先で調整池方向へと伸びているが、先は見えない。
がしかし例の注水とは若干だが明確に別方向へと向かっている…。

この設備には水の流れ込みらしきは確認ができず、2度目の訪問段階で既に謎であった。

3度目の今回、もう少し注意深く見てみる。
接近してみると、この謎設備は水槽で満水状態らしく、越流していた。
また越流部はかなり際どい設計で、イレギュラーな流入を想定する必要性を一切排除している＝取水堰堤とは直接の関係は無いのではないか？との考えが頭を過ぎったが・・・

ゴリゴリの猛暑に現地では頭も回らず、ええいともかく堰堤探しだ！と無闇に先へ歩く。ここからは第一発電所がよく見える。あの鉄管の中を26取水が通ると思うとゾクゾクする。

発電所脇をズーム。ハンドルが外された謎水門が見える。位置的に恐らく調整池右脇を流れる、元々の川の付替水路に関係する設備だろうと。これが取水堰堤かというと、上から見る限り、ただの水門にしか見えず、付替水路点検時用の水門？ぐらいの考えだった。

・・・と木々の隙間から貴重な文字情報。「付替水路制水門制御盤」とある。これでまず調整池脇水路の役目は確定した。

で猪突猛進。この谷の少し上流に堰堤があって、理由はともかく謎水槽に貯留の後、調整池に注水しているのだ！！という考えに凝り固まって、進めど進めど見えるのは砂防堰堤だけ。
無駄に体力を消費してしまった…

(地理院地図より引用加筆)
一旦落ち着いて整理。結局やっぱり付替水路界隈が紐解くカギかと、再度川を下る。

そして、、見えてきた。

これは松尾川第一発電所。

例の水門脇には取水口・・・？！！これがもう1つの取水地なのか・・・？
にしても堰堤感無いし…と見上げてハッとする。

先程から普通に視界に入っているこの壁、水路の一部かと思ったが・・・！

恐る恐る覗き込んで見ると、ただの壁じゃない、堰堤だ！
下流面がこれでもかというぐらい発電所に接しており、初見で気付かなかったが、このバケットカーブはまさしくダムのそれ。

美しいカーブのグラデーション。ズバリの現場は抑えられなかったが、あの向こうすぐにある井内谷調整池へと水は流れるのだろう。

天端は途中まで行けた。左奥に2本の管が見える。ここで漸くあの水槽と繋がった。

ややこしいが、この写真で言う所の注水とは別に、上流側に管らしきが見える。
それが今まさに見ている管。

しかしこの堰堤、取水堰堤として機能しているのだろうか？水位の痕も付いていないし、どういう運用なのか気になる所。

で、例の水槽に戻ってきた。あの注水は何なのかを解明せねばならない。

初見では余計な先入観もあり勘付かなかったが、フツーにハンドルに大ヒント。冷却水の入口弁・出口弁とある。この2本の管を使って発電所～水槽間で循環して冷却水として使われていたのだ！！つまり、この水槽の水は松尾川ダムを代表とする26取水によるもの！！

そしてあの注水管の正体はというと、この余水！

地面をよく見るとそれらしき構造物がある事から、水の流れはこうだ！と確信。

更によーーーーく見ると、余水の先、蓋の隙間からスクリーンもチラ見え。水路確定。
方向的にもあの注水に間違いなしという事で謎解き終了～。
素人の想像なので、違うかもしれんが取り敢えず腑に落ちた。

堰堤付近を上から見るとこんな感じに。
流石に待機所とのあの近接っぷりでは堰堤は見えない笑

一人充実感に酔いしれていると、井内谷に夕日が差し込み極上のラスト。
かなり楽しませてもらえた。

お邪魔しました～🐍