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東平発電所取水口未遂×10(とうなる、愛媛県新居浜市)

●概要
竣功:1966年?  型式:?  
目的:P
   合計最大取水4.0㎥/s
   有効落差599.7m
   最大出力20,000kW
堤高:?m  堤頂長:?m
流域面積:?k㎡  湛水面積:?k㎡
総貯水容量:?万㎥  有効貯水容量:?万㎥


●見学情報
駐車場:無 トイレ:無 自販機:無 天端:不可 直下:不可 


●参考リンク・引用


●道中

住友共同電力、東平発電所。
その落差は599.7mと、
富山の小口川第三発電所(621.2m)に次ぐ、
国内第二位の高落差(揚水除く。写真は取水先の祐延ダム。)。
ちなみに東平発電所以前に稼働していた端出場発電所(1912-1970)は竣功段階では日本一の落差を誇ったそうな(その後小口川第三竣功)。
で、東平発電所の取水ダムとして知られるのが別子ダム。
その湖中には端出場発電所の取水ダムであった七番ダムが沈む(多分この辺…という写真)。
(地理院地図より)
前置きが長くなったが、今回はその取水17ヶ所に迫ろう!という次第。
とは言うものの、ネット情報もほぼ流れておらず、先の記事にも挙げた通り事前段階で期待値は低く、スパッと諦めが付くように到達不可である事を確認するという謎趣向でお送りするが、行けないなりの収穫はあった。
(地理院地図より)
17ヶ所と偉そうな口を叩いたものの、毎度おなじみ水力DBさんにそう書かれてあったというだけで、その多くは位置すら不明。ただ、上図3エリア(名称は仮)に区分されるであろうことは確か。
その水路は大雑把に言って、
東平発電所のある足谷川上流Aエリア

別子ダム含む銅山川と支流Bエリア

発電所手前の東平Cエリア
となっている。
(地理院地図より)
まずAエリア。
何気に国領川水系である足谷上流から、吉野川水系銅山川へと水系を跨ぎ、別子ダムへ注水する。
少なく見積もっても3ヶ所はあるだろう。
まず別子ダム注水口へ。木に遮られズバリの姿は見えず。代わりに「七番川測水所入口」なるポイントを発見。地図通りの水路ならばちょうど注水口のすぐ下流に位置する。
進むまでもなく立禁看板がすぐ奥に見える。次。
(地理院地図より)
取水口があるとしか思えない2支流へと向かえそうな青丸部分。
それがコチラ。
立禁看板に安堵を覚える。何せ行けない前提で旅程を組んだので…。ハイ、次。
(地理院地図より)
第二アクセス路と狙いを定めていたこの青丸。
今度は通行止。
だが、住友看板は見当たらなかったので、ひょっとすると通行止解除になる日が来るのかも?
轍も新しいし…。という事でAエリアは以上。
(地理院地図より)
続いてはBエリア。
ココが一番の収穫だった。何せ地図にない水路が沢山。
まずは大野谷。今まで数回通ってて気付かなかったが、明確に取水口を示す道が普通にあった。
この時点で、地図にない水路の存在が確定。
入口に立禁看板。この看板は明確に登山道として開放されている道にもあるので、判断を迷ったが素直に撤退する事とした。
(地理院地図より)
この段階では、こんな感じの水路があるのかねぐらいの発見だったのだが、、
その少し上流に共電降り口が(写真奥方向に大野谷)。
ズームしてみると、鉄管!
サイフォンだ!これも地図には載ってない。
右岸を見ると物凄い角度で鉄管が立ち上がっている。これにより全くのノーマークだった別子ダム下流右岸側にも取水口がある事がほぼ確定。旧端出場発電所の取水口を踏襲しているならば少なくとも2取水。
しかしこれまでなぜ気付かなかったというと、、左岸側は埋設されモルタル法面に紛れていたのだ。
(地理院地図より)
斯くして今度は、このような水路(雑)を妄想・・・
(地理院地図より)
という事で急遽、その取水口を求め青丸地点へ。
橋を渡ってすぐ右、上流方向に謎設備。
そして左、下流方向。
無念の立禁。さっさと諦めが付くので、こーいう早めの立禁は寧ろ助かる。
そして問題はその脇。日浦水路ッ…!!
なぜココに水路が?!先程の根拠なき妄想によれば、右岸2取水はサイフォンを渡って大野谷と合流するハズ、、そしてココから別子ダムまでの僅かな区間に、谷(取水口)があるとはかなり考えにくい…。
兎も角、行く先は上流謎設備方向。バリケードがあるが歩きならOK。
この謎設備には「日浦揚水場」との銘。
元に戻って改めて見てみると、スクリーンが見え、水路は別子ダム方向へと上流側に遡っている事が分かる。
水路と揚水場の位置関係。
・・・とここで、以前別子ダムを見た時に、右岸側に謎鉄管が見えた事を思い出した。
当時は維持用水か何かかと思っていたが、
(地理院地図より)
またまた地図には無いが、右岸側にも別子ダムへの注水路があるという事で間違い無いと思う(青線部、取水口位置はテキトー)。
同時に先程見たサイフォンが、当初の想像とは逆の流れで左岸から右岸に流れている事もほぼ確信。
(地理院地図より)
詰まる所、このBエリアは、
新山+暗→大野→日浦→小足→別子ダム注水ではなく、
日浦→小足→別子ダム

大野+暗→新山→別子ダム

の2ルートでの注水路があるという予想だにしない展開となった。
※あくまで推測。
ちなみに付近には日浦通洞へと渡る橋があるが、その脇に鉄管が伸びているのは注目すべきかもしれない。確証は無いが、恐らく端出場発電所時代の水路で、日浦通洞を活用した水路へと続いているモノと想像できる。
(地理院地図より)
愈々ラスト、Cエリア。東洋のマチュピチュと広報され多く産業遺構が残る事から観光バスも来る程で、山奥ながらよく整備されている。
無論、今回の目的は取水口であるが…笑
施設群を抜け、登山客用の駐車場に車を置き取水口へと向かう。
平日夕方という事もあってか、誰もいなかった。
変電所を過ぎると第三通洞が姿を現す。凄まじい威厳に接近を躊躇う程。
1911年に通じたというこの通洞は、先の日浦通洞同様に、端出場発電所の水路としても活用されたのだとか。
そして寛永谷方面へと、このような道を行く。
結論、柳谷は到達可能だが、寛永谷と唐谷は少なくとも正攻法では到達不可能と分かった(写真は寛永谷横坑)。
(地理院地図より)
という事で、地図と実地踏査により、17の取水口の内、12はほぼ確定?
到達可能なのは、別子ダム・柳谷取水口のみという結果に終わったが、不思議と充実感に包まれた。
う~んと唸る東平発電所でした。
🥶


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