【物語】アリス、卒業するの巻
生命保険会社を無事退職したアリスは、在職中にお世話になった方々になにかしらお礼ができないかと考えていました。
思い起こせばお知り合いになった起業家さんたちはおしなべて集客に困っていて、アリスはいく種類ものフライヤーを抱えて歩いていたのです。
ただばら撒いても仕方ない。興味のある方の元へ届ける方法はないだろうか?
そもそもこのフライヤーは作ったあの方の意図が伝わっているのだろうか。。。。
アリスなりにネットで調べてみると、、、
ありました!
「そうかマーケティングというものがあるのね」
「ふむふむ、書き方・作り方。。。」
「なるほどー。目が奪われる型っていうのがあるのか。そういえば、うちのポストに入ってるフライヤーやDM。すぐポイ!って捨てるものと、ちょっと手にとってみるものとあるよね。」
「たまたまぴったしカンカンなタイミングだったら電話かメールする。」
「なんか良さそうな中身だったらとっておくことも。。。」
これは少しお金をかけてでも勉強してみる価値があるかもしれない。
思い立ったアリスは早速アクションを起こしました。
なんと!!セミナーへ参加し、この人ならと思ったマーケッターからお仕事をいただけることになったのです。
恵比寿にあるオフィスはこじんまりとしておシャンティです。
オフィスをシェアしているのはwebデザイナーさん。ふえ〜かっちょいい〜
もちろん遠隔で仕事はできるものの、たくさん吸収したいと思ったアリスは、毎日出向いてオフィスで仕事をする許可をいただきました。
アリスはオッサレーな環境で毎日仕事ができるというただそれだけで嬉しくて嬉しくて。
3ヶ月ほどがんばりました。
オサレな環境で仕事の中身も申し分ありません。自分なりに創意工夫もできるし、なにより刺激がすごい!全国のお仲間さんとの交流もあり、楽しく仕事を進めました。
ただ、なかなか本来の目的は達成できそうにはありません。
加えてどうしても続けられない理由ができてしまい、そこは一旦退くことになったのです。
恵比寿のオフィスから離れると同時に、初志貫徹とばかりに保険会社時代にお世話になった方へ御恩返しをしようと動き始めました。
ほどなくある知人から相談を受け、web周りのお手伝いをすることになります。
アリスは張り切りました。
何名かでグループを作り打ち合わせます。
なんどもなんども打ち合わせを重ねますが、どうにもこうにも一番肝心なところが決まりません。決まらないというよりは、一番大事な「誰を見てるのか」が統一されません。
言葉を尽くしても、カスッ💦っというのはこのことかと実感していきます。
グループの中には現役のマーケティングの世界に詳しい方と、活躍中のライターさんもいらっしゃいました。アリスを含め3名の意思の統一は図れるのですが、如何せん知人のクライアントさんたる当の本人の見ている方向がよくありませんでした。
なぜそちらの方向にこだわるのかが如何にもこうにも理解できないアリスはさんざん悩みました。
お世話になった御恩返しをしたい。
どうしたらこの人はわかってくれるのだろうか。
そっちの方向を見ていてはうまく進めない。
なぜわからないのだろうか。
人を変えることはできない。
自分が変わるしかない。
よく聞く言葉ですが、どうしても自分を変えてその人に合わせることには抵抗がありました。そもそも世の中の人々はそちらの方向への反発は並大抵ではないのだから。
マーケッターやコンサルタントの方々は、自分の信条を差し置いてクライアントさん第一に考えると思うのです。
でもここばかりは譲れないという、その部分が真っ黒です。
真っ黒ではないのかもしれませんが、真っ黒と言わざるを得ない。
とうとうアリスは決心しました。
これ以上お付き合いを続けるのは難しい。
決着をつけたあと、グループ内の現役マーケッターさんに報告しました。
「それは卒業ということだね」
「逃げるのと卒業は違う。これは卒業だ。」
この言葉を聞いて、ようやくアリスは肩の荷をそっと下ろしたのでした。
この記事は25時のおもちゃ箱、3月のお題「卒業」に参加しています。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます! これからもていねいに描きますのでまた遊びに来てくださいね。