見出し画像

怒髪天

怒髪天は北海道出身の4人組ロックバンド、4人とも50代前半でボーカルの増子さんは自分と同い年。結成35周年の息の長いバンドだ。怒髪天は増子さんが高校時代に結成し北海道でしばらく活動した後上京した。まったく売れない時代が長く続き、3年ほど活動停止した時もあった。1999年に再結成しメンバーが40を越えた頃にやっとバンドだけで食えるようになったという。決して売れ筋のメジャーなバンドではないが今も全国のライブハウスで年間数十本ものライブをこなしている。

 怒髪天の歌詞は増子さんが全て書く。売れなかった時代、バイト生活の大変さ、一人また一人とあきらめて消えていくバンド仲間たち、自分だけとり残された感、何度もあきらめかけたこと。50過ぎの自分にはアルアルの心に響く歌詞ばかりだ。最高の歌詞にギタリストの友康が小気味良いロックの曲をつける。渋いベースラインを乗せるシミー、ずしり重量感あふれるドラムの坂さん、編曲は怒髪天の4人でやっている。
 ライブはほとんどがワンマン、怒髪天の4人だけで演奏する。楽器が3つとボーカル、一番シンプルな構成だ。最近バンドと称する輩の中にはバックバンドがいたり、ひどいものだと自分たちは全く楽器を弾いていなかったりする。まるでゴールデンボンバーだ。でも彼らはまだ潔い、自らエアバンドと開き直っているから。楽器も弾かないバンドにキャーキャー言ってる奴らみると「こいつらアホなんじゃないの?」といつも思う。

 地方のどんなに小さなライブハウスでも怒髪天は決して手を抜かない。全力で自分たちの歌を置いてくる。合間の増子さんのMCも最高だ。売れない時代に庖丁の実演販売をしていた経験でトークはおもしろくキレキレだ。連日ライブが続く時でも同じ話は絶対しない。以前某ドーム級アーティストのコンサート(あえてコンサートと言わしてもらう)に行った時、このMC台本だな、とすぐに気づいた。おそらくライブツアーで行く所行く所全て同じ話してるんだろうなと思った瞬間げんなりしたことがある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?