黛灰さんが卒業してからハマってしまった人間の話

 2022年7月29日、僕は黛灰という方の名前を知った。



 早朝Twitterでトレンドの上の方になっていた黛くんを笑顔で見送ろう的なタグをなんとなしにポチッと押してみた。

 なるほど、バーチャルライバーさんが卒業したのだな?どうやらかなり愛されている方だというのは理解した。


 今回は黛灰さんについて、気持ち悪いにわかオタクとして話をさせて欲しい。


 まず僕はバーチャルライバーさんにそこまで詳しくない。

 ちょくちょくゲーム実況などは見ていたが基本的には若い人向けのコンテンツだろうからな、と思いそこまで色んな方を調べたことがなかった。フォロワーさんから流れてくる情報でこの方の推しはこのライバーさんなのだな、とか今旬なライバーさんはこの方なんだなというのを知るくらい。


 そんな折、奇しくも引退後に名前を知り初めて見たはずの黛灰さんに不思議な既視感を覚えた。

 何故だ、見てくれが好みだからTwitterでファンアートを見たことがあって脳味噌の奥底で記憶してたとかそんな感じか?

 そこから気になってこれまたなんとなしに切り抜き動画を少し漁って見てみた。



 なるほど、見た目通りのクールでダウナーな感じの方なのだな?結構好きかも…って、ん?ここに書かれてる芸人枠とはどういうことだ?(調べる)……ノリめっちゃいいな!?多才というか多彩というか、確かに面白い人だ…面白いの方向が珍しいタイプだ…いろんな方との絡みも楽しいぞ。



 こんな感じで気がつけば黛灰さんのアーカイブを少しずつ追うようになった。

 独特の世界観や背景にすっかり魅了されてしまい、全動画を追い切れる自信はないにわかではあるがファンになったのが1週間少し前の話。

 

 リアルタイムの黛さんを知らず、Twitterも鍵垢になってしまっていて見れないこの状況が少し悔しくなり始めたとき、にじさんじ甲子園というイベント企画に黛さんがいるということを知る。

 といっても黛さんは引退しているわけでそこにいるのは黛さんを模したゲームのキャラクターなわけなのだが、僕にとっては数少ないリアルタイムの黛さんを追える絶好の機会だ。

 本戦が始まるまであとわずか。僕は備えとしてアーカイブや切り抜きを少しずつ見ていた。




 そして、最初に覚えた既視感の正体に辿り着く。




「どうしてそっちがリアルで、こっちがバーチャルなの」




 新宿のアルタビジョンの映像だった。たくさんの人がいて、アルタの大型ビジョンにスマホを向けているそんな図。

 僕はこの状態をまさに見ていた気がしていた。気がした、というのは確証が持てないからだ。

 新宿にはよく行く。買い物にも、病院にも、喫茶店にも。おそらくは東京で一番出かける場所だ。

 ただ僕は何かイベントがやっていても何だろう?と思ってチラ見はするがどうにかこうにか通り抜けるような人間だ。だから確証が持てない。しかしこの様子を確かに見ていたような、そんな気がしてしまっている。

 すごい人だかりだな…なんかモニターに映ってる…あ、ライバーさんのイベントか。正に現実と架空が入り混じっている…すごいな。そんな記憶が、薄らとあった気がするのだ。


 何だこれは。引退してからファンになった故の妄想か?それともこの記憶は現実にあったのか?もしくはこれを動画か何かで見て現実と混同してしまっている?曖昧すぎてわからない。

 



まるで過去から脳をハッキングされてるみたいだ




 そう思ったら妙な高揚感で心臓がバクバクした。畏怖と憧憬が混じったような、そんな不思議な感覚だった。

 生活圏がその現場と被っていたことによる不可思議現象なのだが、そのわからない部分が気持ち悪くない、むしろそれが自然にすら感じてしまう。

 黛灰という人物はどこにもいないしどこにだっている。そう感じさせてくれる人なのだと感じた。


 そして見たにじさんじ甲子園のリアルタイム視聴。確かに彼はそこにいる、そこにいた。

 ゲームの中にもいたし、おそらく我々視聴者に混じってもいた。それを確かめる術はないのだけれど。



 推しはちゃんと生きている。リアルでも、架空の世界でも。そう感じさせてくれる黛灰さんに、僕は感謝の気持ちでいっぱいです。

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