見出し画像

二十二歳

*はじめに
創作大賞2022を見つけたのが今日1月26日。締め切りが2月6日。
時間はないけれど、何かチャンスかもしれないなと思いました。
私の夢の一つがエッセイ本を出すことです。
このnoteが審査員の方々の目に届くことを祈っています。

○階層

Photo by kii

映画「あのこは貴族」を見た。キャッチコピーは「同じ空の下、私たちは違う階層(セカイ)を生きている」だ。

観てよかった映画だったし、好きな映画でもあるけれど感想にはうまくまとめられない。Twitterなんかで感想を見てみると、女性の生き方について影響を受けたという感想が多かった。

その中で私が強く惹かれたのは「階層」に関することだった。

門脇麦さん演じる「華子」はお嬢様で箱入り娘。水原希子さん演じる「美紀」は地方から上京し自力で生きる女性。

私はどちらかと言えば、どちらかと言わなくても美紀タイプである。多くの人がそうであろう。あるいは、美紀タイプだけれど華子にも近いような人もいるのかもしれない。

私が通った中学校は普通の公立中学校で、市内の中心校だった。父も同じ市内で中学の教員をしており、私の通っている学校は治安がいい、親もまともであるとのことをよく言っていた。

地域によって学力や治安が違うというのである。それはその地域に住む「人」が違うからであって住む場所に「階層」が別れているのだとその頃感じた。

同じ部活の子は隣の学区から越境通学していた。父が言うに荒れている地域だそうだ。彼女が朝練をサボり何日も経ったから、部長だった私は少し攻めた。泣きそうな顔で反論された。

「私は昨日の夜父親に怒られていた。正座して酔っ払った父親に罵声を浴びせられ夜中中怒られて、だから寝られなかった」と。ショックだった。私は親から怒られたこともなかったし、こんな近くにいた子がそのような環境で育ってたなんて知らなかったから。

高校は医学部のある大学の付属校だったこともあって、医学部志望の子が多く、家も医者であったり経営者だったり、とにかくうちよりお金持ちなんだろうなと簡単にわかるくらいそうゆう家の子が多かった。私がお小遣いでは買えないくらいのたくさんのコスメやバッグを持っていたり、ディズニーランドにしょっちゅう行っていたり、親から大金渡されてこれで3年間過ごしてねと言われている子がいたり。

母が昔、大家族を取り上げた番組を見ていたとき「子供を産むなら成人式で着物を来させてあげるくらいの余裕がなきゃダメだ」と、大人数兄弟の中のお姉ちゃんで着物を着られない女の子を見ながら怒っていた。

私は着物を着せてもらったし、大学にも通わせてもらっていて、生活費もいただいている。私はそうゆう階層(セカイ)に生きているのだ。

反対に、大学を卒業したらすぐ働かなくてはいけない。もう家でお世話になることはできない。箱入り娘にもなることができない。私はそうゆう階層(セカイ)に生きているのだ。

○推しに生かされている私たち

Photo by kii

久しぶりに深夜の長電話をした。きっかけは、大したことではない内容だったのだが、あっという間に話は私と彼女の共通の趣味の話になり、気がついたら3時間が経っていた。

彼女とは共通の俳優さんが好きで仲良くなった。

そんな彼女とこんな話になった。

「いやさ、就活してるんだけどやっぱうちらオタクって首都圏から離れられない人間じゃん?でも、いつオタクじゃなくなるかもわからんし、そこに固執して就職先選ぶのは良くないのかもね。。。いや、でも結局永遠にオタクか」

「今追っているジャンルを追わなくなってもさ、結局は別のジャンルでハマるでしょ。結局一生オタクなんだよ」

私と彼女は推しがいるという共通点があった。しかもたくさんの推しがいる。私たちには減るという概念がない。薄れることはあっても決して0になることはなく、永遠に増え続けるのだ。

「推しが生活の一部でしょ?」

誇張して言っているのはなくて、本当に生活の一部なのだ。いや、むしろ生活そのものである。

千葉県の田舎で生まれた私。高校が東京に近かったおかげで、学校帰りに都内へ遊びに行くことができた。土曜日の半日授業が終わった後、渋谷の映画館まで前売り券を買いに行ったこともあった。

東京の西の方の大学に進学した。20〜30分で新宿まで行くことができる。新宿ピカデリーやテアトル新宿、新宿武蔵野館などみたい映画はあらかた新宿に行けばありつける。

もう日常に好きな映画を観れることや、好きな本を簡単に手に入れることができる、ということに慣れてしまっているのだ。

この感覚を知っているのに、首都圏から離れるなんて考えられない。

もうそれは生活の一部なのである。

さて、就職先は首都圏で決めようか。

○「結婚したくないけど結婚報告したい」

Photo by kii

いいね❤︎が1つついた。私がさっきしたツイート。

そのひとつは趣味で繋がった友だちで、私はツイートするときに「きっとあの子なら共感してくれるだろうな」と思っていた子だった。

「結婚したくないけど結婚報告したい」

私は、22歳になる。これまでパートナーと呼べる人はいたことがない。好きな人はいた。何人か。でも、お付き合いをしたいとまでは思わなかった。

結婚したくない。結婚にメリットを見出せない。好きな人ができてお付き合いをするまでは想像できる。わかる。好きな人と一緒にいたい。それはわかる。結婚ってなんのためにするのだろうか。子どものためだろうか。

私は結婚と同じくらい子どもを持つことにハードルを感じている。私が親からしてもらった様々なことを思い出すと、同じことを子どもにできると思えないからだ。どうしたって、自分の子どもに使う時間やお金があるなら自分自身に使いたいと思ってしまう。

それでも世の中には、子どもを持ちたいと思っていなくても結婚している人々はいる。その人たちが結婚した理由はなんなのだろうか。

どちらかが苗字を変えなくてはいけない。もし私が性を変える方であったら、それは精神的な体力も使うことであるし、物理的(手続き)体力を使うことでもある。

それでも結婚報告はしたいのだ。好きな人と一緒になります。なんと素敵なことであろうか。結婚報告をする。インスタにウェディングフォトと一緒に「結婚しました」の文字。ついでにストーリーにも共有しちゃったりして。コメント欄やDMにはおめでとうのメッセージ。とても幸せな瞬間であろう。

そうか、私は幸せになりたいのだ。それが結婚ではないかもしれないけれど、なんらかの形で幸せになりたいのだ。

結婚という一般的には幸せの象徴であることに幸せを感じられないけれど、それでも幸せになりたいとは思っているのだ。

「結婚したくないけど結婚報告したい」
それはつまり
「結婚したくないけど幸せにはなりたい」
そういうことなのかもしれない。

○22歳

Photo by kii

いつの間にか気がついたら22歳になっていた。私よりずっと歳を重ねている人から見れば、22なんてまだまだ若いのだろうけど、今の私からしたら「とうとうここまできてしまったな」「やっとここまでたどり着けたな」という歳である。

昔から大人に憧れがあって、二十歳の時もその節目に感慨深くなったけれど、あと数ヶ月で社会人になる今の22歳はとてつもなく大きな節目だ。

二十歳を迎えた時にエッセイ集を出した。MOUNT ZINEというZINEの専門店で販売させてもらい、個別で販売したものを含めると20冊弱売れた。20近くもの人に、著名人でも何でもない大学生のエッセイを買ってもらえたのだ。いやーすごいな。

最近は「自分がどうお金を稼いで生きていくか」、について考えることが多くなった。これまではありがたいことに、親が家賃も携帯代も生活費も出してくれていた(本当にありがたい切実)。けれどもこれからは自分を自分で養っていかなくてはいけないのだ。

就職する前から就職先に疑問を覚えた私は、キャリアスクールに通い始めた。転職するためだ。まだ通い始めて1週間なのだけれど、ライティング、ブランディング、マーケティングについて勉強を始めている。加えて、2級建築士の資格を取るための勉強も始めた。

あと数日したら岡山の設計事務所にインターンに行く。前々から気になっていた会社だけれど、新型コロナウイルスの影響でインターンをずっと募集していなくて、やっと受け入れが再開したのだ。

この前、その設計事務所の代表の方とオンライン面談をした。私が大学時代やってきたことや今後何をしたいか話終わった時にこう言ってくれた。

「まだ、インターンしてないからなんとも言えないけれど、インターン終わってからもちょくちょく一緒に仕事できたらいいなと思っているから」

「あ、大人になったんだ」と思った。一緒に仕事をしたいと言ってくれた。それがとても嬉しかった。インターン成功させなければとも思った。

もうすぐ大学の卒業式だ。私は大人の仲間入りをする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?