27歳、社会的卵子凍結する②【詳細編】

社会的卵子凍結を決意し、実際に何院かに行って説明会や相談会を受け、卵子凍結を実行しました。今回はその内容をまとめてみます。

最初の記事はこちら↓



卵子凍結の概要

まず、社会的卵子凍結を検討されている方が1番気になるのって、どのような方法で、どのくらいの費用で、どのくらいのスケジュール感でするのか、を気にされている方が多いかなと思います。
卵子凍結の方法は、細かなところはクリニックによって違うと思いますが、概ね方法自体は同じかと思います。
卵子凍結を考えられている方はバリバリとお仕事をされている方が多いと思うので、実際どのくらいの頻度で通院しなければいけないのか?とか、仕事しながらでも大丈夫か?って言うところを、私が行った医院の場合、で書いていきたいなと思います。


◆どうやって卵子を採るのか

卵子凍結には、フェーズがいくつかありますが、私の場合は、大きく分けると以下の3つになりました。

①卵を育てる
②排卵誘発
③採卵・凍結

・卵を育てる
通常、卵子は毎月 月経の時期から左右の卵巣のどちらかで成長していき、排卵日に1つだけ排卵します。卵子凍結をする周期(採卵する周期)の場合は、本来排卵する予定の卵子以外の卵子も成長させます。これは一度の「採卵」で卵をたくさん採り、妊娠率を上げるためです。この辺りは、不妊治療で行う体外受精で行う際の採卵と、同様の行為になります。
方法には高刺激・中刺激・低刺激とあり、刺激レベルが高いほど卵子が多く採取できるとされています。卵子凍結の場合はいかに卵子を多く保存できるかが重要になるため(後述)、一度でたくさん採れる高刺激が推奨されています。(ただ、刺激が高い分体への負担は大きく、OHSS発症のリスクが高い)
卵を育てるためには、方法として主に注射や、薬の服用のようです。注射に関しては、近くの医療機関などで薬剤を持ち込んで注射を打ってもらうことも可能なでしたが、紹介状が必要だったり注射打つだけで3,000円〜8,000円と医院によって幅があるよう。毎日注射のために病院に通うのは仕事もあり難しいので、私は「自己注射」の方法を選択しました。病院で練習させていただいて、あとは自宅で自分で注射を打っていました。これが結構、卵子凍結においてハードルが高いなと感じるところでした。

・排卵誘発
採卵日の2日ほど前に、排卵誘発の注射や点鼻薬をしました。これにより、育った卵胞から卵子が排卵する準備をします。

・採卵
排卵誘発で無事卵が育ったら、いよいよ採卵します。
細い針を子宮から卵巣に向けて刺し、卵子を吸い取ります。これで採れた卵子たちを凍結して保管して、卵子凍結は完了です。採卵数が少なく不安な人は、再度チャレンジする人もいるのでしょう。
基本的には麻酔をして行うので、採卵時の痛みは全くないか、少し痛いくらいなようです。すぐに終わる手術なので、午後から仕事にいく人もいるようですが、私は念の為この日はお休みしました。

◆卵子はなるべく多く保存すべし

採取した卵は、卵子凍結の場合このまま凍結されます。
ですが、いざこの卵子を使うとなり融解した際に、生存せず死んでしまう可能性があります。
また、この卵子がきちんと成熟して使える正常卵(染色体の数が正常な卵)なのか、未成熟で使えない異常卵(染色体の数が異常な卵)なのかは、この時点ではわかりません。受精させて始めて正常卵か異常卵かが判明します。
28歳で採卵した場合、約20%が異常卵の可能性があるとのことで、もし10個採卵した場合は2個は異常卵ということになります。この%は年齢を追うごとにどんどん上がっていき、35歳を超えると50%、40歳の場合は90%異常卵の可能性があるというのです。他にも、受精が上手く行かない可能性もあります。
こう聞くと、なるべく早く、そして多く採卵するべきだと感じますね。私が行ったクリニックでは、34歳ごろまでに卵子凍結をしておくと、有効性が高いとおっしゃっていました。また、自身のAMHの数と年齢を掛け合わせて、大体どのくらいの卵子を凍結保存しておくべきか、シミュレーションすることができました。

◆卵子凍結した卵子の妊娠率

凍結した卵子は、新鮮卵子(採卵してすぐの状態)よりも、胚盤胞形成率が低いとされています。
胚盤胞とは、卵子と精子が受精した後の細胞分裂の段階の名称です。受精卵が胚盤胞になってから女性の子宮に戻す(移植)のが、1番妊娠しやすいそうなのですが、この胚盤胞になる率が新鮮卵子(採卵してすぐの卵子)よりも低いのだとか。病院によっては、この胚盤胞になった受精卵しか移植しないというところもあるようです。
なので、前述した「なるべく卵子を多く採る方がいい」というのは、ここにも繋がってきますね。
ちなみに胚盤胞移植後の妊娠率については、通常の体外受精での妊娠率と有意差はないと聞きました。




卵子凍結のスケジュール

①卵子凍結説明会にいく

私の行ったクリニックでは、月に1回卵子凍結希望者向けの説明会があり、卵子凍結をするにはこの説明会を必ず受けなければなりませんでした。他の医院でも相談会や説明会は事前に受けなければいけないところが多かったです。
説明会では、主に卵子凍結はどうやってやるのか、スケジュールや費用、実際その凍結した卵子を使って妊娠するにはどうするのか、その場合の妊娠率など、とても細かく教えてくださいました。
説明会の時間は約2時間もあり、かなりボリューミーな内容でした。私も改めて人間の生殖機能について深く知ることができたと思いました。
私は説明会前にAMHの検査も行ったので、実際は半日くらい時間を使いましたね。

②初診予約を取る(いつでもOK)

説明会参加者に予約用のURLが渡され、そこから初診予約を取りました。超人気クリニックなので、初診の予約はかなり争奪戦でした。3ヶ月先とかまでザラに予約が埋まっていました…。
初診の時期はいつでもいいとのことだったのですが、初診時に検査等を行うため、月経の周期によっては受けられない検査もあるようでした。
説明会で「月経10日前ごろまでに初診予約がおすすめです」とのことだったので、私は次の月経が始まる12日前ごろに初診を予約したところ、看護師さんから「今日は全ての検査ができます」と言われました。初診はいつでもOKのようですが、通院数を少なくするのであれば、説明のあった通り月経10日前くらいまでに予約するのが1番良さそうでした。

③初診(月経12日前)

予約を取った日程で初診を受けます。主に検査がメイン。この日は血液検査でかなり血を抜かれました(笑)会計は5万円近かったです。平日の午前中だったので仕事は午後から行きました。
血液検査の結果は1週間後くらいに電話で、問題の有無だけを聞く形でした。(検査結果の詳細は電話ではお伝えできないので次回来られた時に…って感じ)問題なければ次周期から卵子凍結の周期に入れるし、問題があれば治療して問題をクリアにしてから卵子凍結が出来るようです。
私の場合は初診の初診終了後に先生から「まぁ問題ないから次の周期から出来るよ」と言われましたが、念の為1週間後に電話で検査結果を確認しておきました。
次の周期からすぐに卵子凍結を始めたかったので始めることにしましたが、この初診から1年間くらいは開始時期をずらしてもOKなようでした。ただ検査結果が変わってしまうので、個人的には早めの方がいいのではないかなと思います。

④注射の練習

前述したように、卵子凍結をするためには一度で卵子をたくさん採卵するために、本来は消えていく予定の卵子を育てる必要があり、その為に注射を打つ必要があります。注射だけで通院するのは難しく、なるべく通院数を減らしたかった私は、自己注射を選択しました。いきなり練習なしに自己注射はさせて貰えないので、次回の診察までに自己注射練習の予約を取り、練習しに行きました。

⑤注射開始(月経2日目)

月経が始まり、すぐに診察の予約。月経から2、3日目で診察すればOKのようです。私は2日目に行きました。この日も平日の午前中で、仕事は午後から出社。
前回の血液検査の結果詳細を貰い、また超音波で卵巣を見て大体採れる卵子の数の予想を先生から聞きました。超音波では卵子自体が見えるのではなく、その周りの卵胞が見えるので、その卵胞の数で予想します。月によって成長する卵胞の数は変わるらしく、もし採卵できる数が少なそうであれば、この時点で「卵子凍結は次周期に変更します」といった対応も可能でした。柔軟!
私の場合は左右で22個と言われたので、このまま卵子凍結の周期に入ることを決断。この日から注射が始まりました。私の場合は朝晩の飲み薬と、皮下注射4日分、筋肉注射3分の計7日分の注射が処方されました。

⑥次回診察まで毎日服薬&注射

朝晩忘れず薬を飲み、注射は夜ご飯を食べてからお風呂に入るまでの間に挑戦しました。ゆっくり落ち着いてできる時間、そしてなるべく注射して1時間以上開けてから入浴するようにしました。

⑦診察(月経9日目)

この日はどのくらい卵胞が育っているかを確認。この日も平日の午前中で、仕事は午後から出社。
私の場合は左右の卵巣合わせて10個育っていると言われ、MAXでも10個しか取れないのか…と少し落ち込みました。
特に問題はなかったので、2日後採卵で決定。採卵の日のスケジュールなど色々説明を受けました。また、最後に排卵を促す【LHサージ】と言うものを起こすための注射を打ってもらい、自己注射用の皮下注射と、点鼻薬を処方されました。
この日の夜、決まった時間に注射と点鼻薬をしなければいけなかったので、夜の予定は開けておかないといけませんでした。

⑧採卵(月経11日目)

いよいよ採卵。この日は静脈麻酔を使用して半日入院なので、仕事はお休みしました。
朝の8時ごろに医院に行き、育った卵がすでに排卵してしまっていないかを確認。もしここで排卵してしまっていたら、採卵は中止です。ここまでかかったお金は戻ってこないので、排卵していないことを祈るばかりでした…。
無事排卵はしていなかったので、採卵実行。
手術後の安静室(ホテルの部屋みたいに綺麗でした)に通され、術用のガウンやショーツに着替えて、点滴を打たれます。用意ができたら手術室に通され、採卵開始。めちゃくちゃ緊張しましたが、看護師さんが声をかけてくれて何とか持ち堪えました。点滴のチューブから麻酔を打たれ、いつの間にか意識を失い、気づいた時には既に安静室に戻ってきていました。採卵中の記憶は全くなく、痛みも全くありませんでした!

⑨凍結

術後に培養士さんから採卵できた卵子の数や、凍結数の調整、諸々の説明を受けました。
私の場合は24個採卵でき、そのうちの8個が未成熟卵でしたが、翌日未成熟卵が3つ成熟したと連絡がありました。結果、卵子を19個凍結することができました。⑦の診察の時点で10個以下だと思い込んでいたので、脅威の採卵数に驚きを隠せませんでしたが、とても嬉しかったです。




費用

私の場合、下記の費用がかかりました。

初診:35,330円
月経2日目診察:47,150円
採卵前診察:23,230円
採卵日:219,400円
凍結費用:209,000円
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計:534,110円

高いですねーーーー!!
そして3年ごとに、凍結費用の209,000円は更新費用としてかかります。医院によっては毎年、卵子○個につき更新費用○円、などで費用が発生するところが多いです。

しかも、この凍結した卵子を使って、将来妊娠を目指す場合は、高度不妊治療でも行われる顕微受精を行うことになります。しかも、保険適用されません。自費です。通常の不妊治療であれば保険は適用になるのですが、卵子凍結した卵子を使う場合は、なぜか自費なのです。。なのでさらに一度の培養〜移植で、30万〜40万かかると思われます。

そして、卵子凍結をしておいたとは言っても、将来の妊娠が100%保証されるわけではない。これは気軽に周りに卵子凍結しときな!!と言えないです。

女性の社会進出と共に、どんどん出産の年齢が高くなってきている昨今。
不妊治療が保険適用になったように、社会的卵子凍結の保険適用(もしくは助成金)、その卵子を使用する場合の治療に、一刻も早く保険が適用されることを強く願います。そうすることで少しでも少子化を防げるのではないかな・・・。


私は、これだけ高い費用を払ってでも、卵子を残しておきたいと思いました。それは、将来自分が子供が欲しいと思った時に、「あの時やっておけばよかった」と言う後悔だけはしたくなかったからです。今が1番若いから、今やろう!と。
そして、私は元から低めのAMHが、これから更にどんどん低くなることを考えると、今の27歳という年齢でやっておいて本当に良かったと思います。おそらく後3年後のタイミングでしていたら、採卵数がもっと少なくて苦労したと思います。


メリットとデメリットのたくさんある卵子凍結ですが、私はしたことに後悔はありません。
いつか、今カチコチに凍っている私の卵ちゃんを迎えに行ける日が来ればいいなと思います。今から楽しみです。


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