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読書記録

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個人的な読後連想の記録
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2022年8月の記事一覧

読書記録2022 最近読んだ本たち

『タイトル読本』 高橋輝次・編著 とにかくネーミングセンス、キャッチコピー力に乏しいもので、何かの参考になればと手にとってみたのだが、多くの作家たちもそうそう簡単にタイトルをつけられているわけじゃないと判って、解決の糸口はつかめないまま、妙な安心感だけが残った。  堀口大學から三谷幸喜まで、誰もが知っている人たちがタイトル付けにまつわるエッセイを書いてきた事実も、この本で知ったわけで、それだけ著作にタイトルをつけるというのは誰にとってもなかなかの難題なのだなと。  個人的には

読書記録2022 『黒牢城』 米澤穂信(若干ネタバレあり)

 ちょっと前に遅ればせながら読んだ直木賞W受賞の作品。  今村翔吾の『塞王の楯』は読むのが楽しみで、積ん読タワーの下段にあったのを我慢して我慢して、満を持して一気に読んだのだけれど、本作は期待と懐疑とが半々だった。そしてその予感は残念ながら後者の方により大きく傾いていた。  時代小説や歴史小説作家が書くミステリーと、ミステリー作家が歴史小説を書くことにどれだけの違いがあるのか、あるいはそんな差などないのか、作品そのもの以外にも、そのあたりに興味があった。  読む前には松本清