『ロング・グッドバイ』再読〜文体のこと、未完の続きのこと
特に必要火急な要件もない平和な日曜日、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」を再読した。
僕の中では『長いお別れ』が正しいタイトルで —— つまり清水俊二訳が正規版ということだ —— 村上春樹訳の『ロング・グッドバイ』はカバー・バージョンみたいな受け止めがいつまでたっても消えない。
もちろん翻訳を介さない英語版がオリジナルなのは当然なのだが、10代の頃に読んだ時の「ハードボイルド」な雰囲気は、ファーストコンタクトの瞬間に身体に深く染み込んでしまったらしい。当時は清