【ピリカ文庫】それ、似合ってますよ【短編小説】2600文字
「ユメ!おい!ダメだって!もぉ~!!」
薄黄緑色の柔らかな芝生を白くてすっと伸びた脚が駆けていく。
時々僕の方を振り返って追ってきていることを確かめてくれるが立ち止まることはなく、また前を向いて駆けていく。
「待って!ユメ、待って!」
聞こえているはずなのに待ってはくれない。
最後に振り返って首をかしげ、薄暗い茂みの中に入っていった。
「おーい・・・」
ユメは連れ出してくれる人をいつも静かに待っている。
自分からどこかに行きたいと主張はしないが、行った先では誰よりも駆け弾み、