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cero「traffic」で岡村ちゃんを見た

マウンテンマウンテン~♪

ということで、「山の日」に開催されたcero主催のイベント「traffic」に遊びに行ってきました。ベテラン・新人問わず、ceroが競演してみたい・見てみたいアーティストだけが出演する一日限りのフェスティバルであるこのイベント。今年はDTMP、鴨田潤(イルリメ名義で「チャームポイント」をカバーしているという岡村ちゃん繋がり)、D.A.N.、古川麦トリオ、藤井洋平、岡村靖幸、KEITA SANO、sauce81、サモハンキンポー(思い出野郎Aチーム)、SLOWMOTION、そしてceroがラインナップ。イベントオリジナルカクテルやrojiほかceroゆかりの飲食店が出店するなど、地元の街のお祭り的な親近感のある祝祭空間が広がっていて、コーストに辿り着いた瞬間から良いムードが伝わってきました。

真っ昼間ながら霧深い深夜のような浮遊感を漂わせたD.A.N.(陽性なスティールパンの音色を渋く響かせるのがイイ!)、ストリングスを従え、ジャンルに縛られないグッドメロディーを聴かせてくれた古川麦トリオ、「お前のアソコを/俺のものにしたい」など、性愛を直球で歌い上げる姿がどこかユーモラスに感じられる藤井洋平など、どれもが心地良く、一本筋の通った「歌」を綴っていたのが魅力的でした。
この日はキーボードプレイヤーとしてdorianも参加していた藤井洋平は、ここ2年くらいの間に幾度か見る機会があって、洗練された音にねっとりと絡み合うようなボーカル(+歌詞のモチーフ)がどことなく岡村ちゃん意識かな……という感想を持っていたので(似てる似てないは別として)、岡村ちゃんの前に藤井洋平を持ってくる、というこの出演順は非常にニクいものだと思いました。トーキングモジュレーターを駆使する姿、“カッコをつける”を最優先した謎のMCなど、見どころは盛りだくさん。私の知り合いの岡村ちゃんファンもCDを購入しておりましたし、意義あるものだったと思いました。 

さて、大阪のフェス「WEST GIGANTIC」から5日ぶりの岡村ちゃん。Base Ball Bear小出祐介ゲストによる「愛はおしゃれじゃない」&ふたりのイチャイチャっぷりにスペシャル感があり、果たして今回はどうなるかと思っていたのですが、こちらも貴重と言えたのではないでしょうか。
まず、ギターは純朗さんからツアーメンバーである田口慎二にチェンジ(ギターのボディカラーはベースのヨコリンと同色)。そしてオープニングは「できるだけ純情でいたい」~EW&Fのカバー「CAN'T HIDE LOVE」という、2016幸福ツアーの再現からスタート。先日の大阪からガラっと変えてきたのは驚きだけれども、「できるだけ~」の濃密でキメキメのアウトロは岡村ちゃんの最新型だとも思うので、こういう現場で披露してくれるのは嬉しい限り。
「彼氏になって優しくなって」~「ぶーしゃかLOOP」と、確実にファンキーに場を染め上げていったあと、ドロップされたのは「カルアミルク」! CERO高城くんのカラオケの十八番(※九龍ジョーさん情報)というこの名バラード、やはりその知名度も高く、岡村ちゃん初見らしきオーディエンスからも歓声があがる。フェスセットでは外されがちなバラードですが、フジロックでモッシュ&大合唱があったのもじつは「カルアミルク」という揺るぎない事実。電話なんかやめて「traffic」に集合したワタシたちの一体感、非常に印象的なシーンを創り上げていました。
そこからMCを挟み、「愛おしゃ~」~「ビバナミダ」だったので、このまま終わるかなと思ったら、さらに「あのロン」~「だいすき」と畳み掛けて畳み掛けるアグレッシブなセット。50分という時間でDATEを可能な限り表現した、渾身と言って良いライブでした。
野外ではなく、相対的に音響の良い屋内だからこその「できるだけ~」はじまりのような気もしますし、なかなかレアなセットだったのではと。残すフェス出演は「氣志團万博」ですが、ユニコーンの後、山下達郎の前ですから、間違いなくしびれる雰囲気の中でのライブとなることでしょう。こちらも楽しみすぎます。

岡村ちゃん終わりで登場したのは、ヘッドライナーであり、本日の主催者であるcero。私は昨年の日比谷野音「outdoors」以来。いきなり夏の名曲「summer soul」からはじまって、空気をきちんと切り替えていく横綱相撲を見せる。「山の日」だからということでもちろん「マウンテンマウンテン」もパフォーマンスし、アフロ・ファンク度がマシマシの「マイ・ロスト・シティー」でガツーンと盛り上げる。本編ラストとアンコールでは新曲を演っていましたが、これもポリリズム満載のテクニカルなサウンドで、うーん、「化ける」気配。

終演したのは2100過ぎ。しかしながら密度が濃くダレることもなく、屋内ということもあって快適さも確保されていた「traffic」。ベテラン・大物枠として岡村ちゃんは出演したわけですが、その役割は十分すぎるほど果たしたのではないでしょうか。こういう対バン、予定調和にならないから素敵。

心から楽しめました。

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