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【エッセイ】目がキラキラ

子供ってまだこの世界の新参者で
見るもの全てが新鮮で新しいに溢れていると思う。
時間の流れがゆっくりなのも、まだ新しい刺激に満ち溢れているからだと思う。

まだ無垢な子供の目ってほんとに吸い込まれそうなほどに
キラキラと優しく輝いていて、たまにあまりの綺麗さに恐ろしくなるほど。

それが大人になるにつれて
段々と世界にも慣れて新しい刺激を得る機会が減っていき
また、社会の厳しさに揉まれてその瞳の光が薄れていくように思う。

電車に乗って通勤をしている方はよくわかると思います。笑

あんなにキラキラと目を輝かせて生きている時間って
なんて短くて儚いんだろう、と友人の子供を見て感慨深くなった僕は
自分はどうなんだろう?とふと鏡を取り出した。

自分で言うことでもないのだが、綺麗な目をしていた。
くっきり二重に長いまつ毛。
少し垂れ目だけども、その目力は確かに強い。笑

が、やはりあの子供特有の目の輝きはなかった。

はぁっと深いため息をついた僕は静かに鏡を元に戻す。

目をキラキラと、まるで子供のように輝かせている大人はどこかにいないものだろうか。
そんなことを思いながら辺りを見回してみると
なんと、一人だけ、目をキラキラと輝かせている大人がいた。
それも、おじさんだ。笑

そのおじさんは僕の実の父親なのだが、よくよく振り返ってみると
昔から新しいものが好きな父は何か新しいものを得るたびに目を輝かせ
その物の素晴らしさを熱弁していたように思う。

時折家族ラインに送られてくる父の写真をよくよく見てみると
まるで子供のような輝きを放つ瞳を持っていた。

ごくありふれたサラリーマンをやっとのこと終え
平凡な人生を送っていると思われる僕の父の目は
キラキラに輝いていたのだ。

何で何だろう。
多分、本人にそう問いかけたら
「石の上にも40年」としたり顔で返ってくるだろうから
あえて聞こうとは思わない。

けど、彼の心の中の世界はまだまだ新鮮に輝いているのだろう。

自分の父親の生き方?性格?に何かヒントがある気がして
最近、最も気になる人物の一人である。笑

いつか、あの目の輝きの秘訣を突き止めることができたら
またここで書き連ねたいと思う。できれば、目をキラキラと輝かせながら。

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