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〜闇の魅力に惹かれて〜体験作家&闇歩きガイド│中野純さん

闇の世界にはまり、闇の中を散策するツアーを企画している中野純さん。闇歩き(ナイトハイク)の楽しみを色々な人と共有したいとの思いから、2002年、本格的にツアーをスタートさせた。


闇歩きガイドの中野さんは、実は網代にある「少女まんが館」の運営者でもあります

中野さんが闇の魅力に気付いたのは、1994年。もともと山歩きが好きで、その日も夜行列車で目的地に向かおうとしたが、なんと列車は高尾どまり。とりあえず高尾まで足を運び、始発までの暇つぶしにと草戸山の登山口に足を運ぶと…、そこに広がるのは真っ暗な闇。木々の葉が生い茂り、都会からの明かりは山によって遮断され、漆黒の世界。最初は恐怖を感じたが、目が慣れてくると、闇がどこまでも広がる景色に圧倒された。新宿から電車で40分ほどの場所に、こんな凄い景色が存在していたのか、と感動したと言う。

闇の中を進むうちに、やがて空が白み始め、夜が明けてきた時、モノクロの世界に突如山つつじの赤い色が目に飛び込んできた。それは一瞬の出来事で、こんな風に朝が始まるのかと感動し、そこから夜の山歩きにはまったという。

今熊山のナイトハイク風景。眼下に五日市の街の明かりが広がります

世界の果てまで無限に広がる闇の中から、色々なものが一気に押し寄せてくる。音、匂い、肌に触れる感覚。人間の本来持っている感覚が研ぎ澄まされていく。それが闇歩きの魅力である。参加者の感想でも、「元気になる」というのが多い。「普段使っていないものが開かれていき、体も解れていくし、色々な感覚が豊かになり、自分が中心でない感覚、自分が世界の一部であるという感覚を持てる」という。


昨年刊行された、古典文学の闇を体験できる作品。現在、新作を執筆中とのこと。楽しみである

夜歩くと、その土地の持っている力、その土地本来の魅力が伝わってくる。闇歩きツアーの参加者にもその土地の魅力を伝え、感じてもらっているという。このような形で地域社会に貢献出来たら、というのが中野さんの想いである。

今まで闇歩きツアーが行われた場所↓
あきる野では、秋川渓谷と横沢入り、金比羅山、戸倉城山、天竺山、網代城山、網代弁天山。他には、石巻(宮城県)、那覇(沖縄県)、市街地や外房、江ノ島、鎌倉などの海、また富士山でも開催。


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