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写真と動画、どっちが先に発明されたのか?

今の時代はデジカメでもスマホでも、「写真」と「動画」の両方が撮れてしまいます。

しかしほんの一昔前まで「写真用カメラ」と「動画用カメラ」は別物として存在してましたから、これらが統合された現在の状況はなかなかスゴイのです。

「写真」の歴史を振り返ると、それはヨーロッパの伝統的な「写実絵画」の延長上にある、というお話は以前もしました。

なぜなら1989年にフランスで「写真術」が発表される以前からヨーロッパには「カメラ」(カメラオブスキュラ)が存在し、画家たちはそれを使って「手描き写真」を描いてきたからです。

では一方の「動画」の歴史はどうなのか?

エドワード・マイブリッジにより撮影された『馬の疾走』1878年
マイブリッジが連続撮影に使用した装置。
馬が通過することで紐が引かれ、カメラの高速シャッターが切れる仕組み。

動画の歴史は一般的には、イギリス生まれのエドワード・マイブリッジ(1830〜1904年)による「高速連続写真」に始まると言われています。

マイブリッジは1878年に、ガラス板に撮影する「湿板写真」の大型カメラを12台並べ、疾走する馬の写真の連続写真を世界で初めて撮影しました。

トーマス・エジソンにより発明されたキネトスコープ。

そして1889年、コダック社が透明で柔らかいセルロイド樹脂を使った「写真用フィルム」を発売すると、1893年に「35mmフィルム」を使った動画装置「キネトスコープ」がトーマス・エジソン(1847〜1931年)により発表され、それを基本として現在でも使用されるような映画装置が開発されたのです。

つまり動画(映画)の技術は写真の技術の応用なのですが、それに加えて人間に特有の「残像現象」の原理を利用し「動く画」を実現しているのです。

ところが驚くことに、この「残像現象」の原理を利用した映像装置も、写真が発明される以前から既にヨーロッパに存在していたのです。

フェナティスキスコープ(通称・おどろき盤)
鏡に映して回転させる事で絵が動いて見える。

それが1831年、ベルギーのジョセフ・プラトーと、オーストリアのジーモン・フォン・シュタンフェルにより(偶然にも)同時期に発明された「フェナティスキスコープ」(通称・おどろき盤)なのです。

写真が存在する以前のフェナキスティスコープは「絵」が動くまさにアニメーションであり、文字通り「動画」の元祖でした。

そう考えると、動画は写真の応用として後から発明されたようでいて、実は写真よりも先に動画が発明されていたのです。

ところがいろいろ調べると両者の関係はそう単純に言い切れるものではなく、「写真」と「動画」の歴史についてはまだ面白い話がいくつかありますので、それについてはまたの機会に書いてみたいと思います。