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Flyer in the wheat

僕が教室を抜け出して近くのコンビニへコーラを買いに行っているうちに学校では猫の大軍が図書室を占拠したらしい。ツイッターのtlでそんなメッセージが流れてきたが、僕は無視していつもの公園へ向かう。
公園、それは公衆が憩いまたは遊びを楽しむために公開された場所。ウィキペディアの文をコピペしてもそれはなんの意味も成さず、ただただ味気ない「事実」という名のなにかレッテルのようなものを付加するだけだった。とにもかくにも公園に到着。晴天の空の下、ブランコがその錆びたチェーンを輝かせている。ベンチの手摺にはビールの空き缶が並べられている。僕は明るさに目を細めながら滑り台の1番上まで上る。ここが僕の特等席。ここから、前方に広がる小麦畑を見るのが最近の日課と化している。何も無い町。何も無い空。何も無い世界。僕はこれを求めていたのだろうか。まあ図書室を占拠した猫を気にせず、というか無視してここまで来たのだから、変化なんて望んでいないんだろうな。とか考えながら、今日も僕はコーラを飲み、滑り台を滑る。僕の体は浮いているように、飛んでいるように軽かった。

【完】


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