居場所

学校。
クラスメイトが屈託のない笑顔で話している。こんなに息の詰まる場所はない。
道。
みんなが無表情という名の仮面を被り、歩いている。怖い。
塾。
先生の熱意が空回りしている。見ていて悲しくなる。
電車。
スマホの画面が乗客の顔を照らす。僕は顔をハンドバッグに埋めた。
エレベーター。
おばさん達が腹を揺らしながら醜く顔を歪めている。気持ち悪い。
家。
両親が過剰な期待で僕を束縛する。これ以上何を奪われるのだろうか。
屋上。
風が僕の顔を打ち付ける。まるで僕を落とそうとしているかのようだ。せっかくだし落ちてみるか。
風が僕を受け止めるかのように、優しく包み込む。誰も僕を脅かさない。これが平和なのだろうか。残念なのは、この時間がすぐに終わってしまうことだ。ああ、もうアスファルトが近い。

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