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音のない歌詞・詩のようなもの

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二束三文にも満たないナニカ
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2020年11月の記事一覧

地底の雁行

朝靄の渡り鳥 狂信者は 群れをなして 規則的な幸せは 僅かな孤独をも際立たせ 誰かを殺すかもしれない ホームの白線に立つ オカルトマニアのあの子 身を潜めて 誰しもが 誰にも語れない物語を引き連れて 日々を渡るだけ それだけで精一杯で いつの間にトライアングルから弾かれて 現し世から静かに零れ落ちていくんだ 偽りの神に成りすまし 損得で勘定する0と1のユートピア 宵闇の傍観者 盲信的に 本能のままに 蔓延した孤独は 本当に孤独な人間を救う 唯一の術なんだって

惑星弱虫

目印も何もない月面を 肩書きばかり詰め込んだ名刺 握りしめて 誰かの足跡 探してなぞっていく 存在しない椅子の周りをぐるぐる廻るだけの くだらない椅子取りゲームはもう飽きたし 僕が僕である為に必要な物もの ただ此処にあるもの きっと それだけ ただ それだけ 同じ街で育った僕ら 同じ体温で生きていたから 分かり合えたんだ 凍てつく酸素が心臓まで届きそうだから 少しだけ寄り添った くたびれた希望にもたれて僕は 出来損ないと嘲る事しか 雨音に混じるサイレンに耳を塞いで