【エッセイ】こわいものにふた
夏祭りに出かけた。県内でも有名な祭りなだけあって、見回す限り人、人、人。老若男女が楽しそうに露店を行き交っている。りんご飴をかじりながら神社の方まで歩いて行くと、おどろおどろしい看板が目に入った。若い女性のきゃあっと叫ぶ声が耳をつんざく。私はつつつ、と歩道の端に寄ってそちらを見ないことにする。そう、お化け屋敷である。
夏となると心霊番組やら肝試しやらが流行るのはどうしてなのだろう。私は大のこわいもの嫌いである。子どもの頃、ホラー系のテレビ番組を母が見ていると私はソファの後ろ