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地域+大学の小さな地域日本語教室講師育成プログラム 実習編その2:ピア・ラーニング

いわき市日本語教室では、日本語教師有資格者を対象に、教室の講師を育成するプログラムを実施しています。
概要は以下の記事で紹介しています。

こちらの記事では、実習の具体的な内容について紹介していきます。

毎週の「目標設定」と「振り返り」

実習の初期段階では、私が作ったカリキュラムに沿って、1コマのうちの一部分の活動のデザイン、教材作成、授業を行ってもらいます。
そして毎回、授業の前の「目標設定」と、授業の録画を見た上で「振り返り」を行います。

地域の教室だと、決められたカリキュラムも指定教材もなく、そのほとんど、あるいは全てが教師に委ねられるといったケースもあり、また指導的立場の教師がいるとも限らないため(恐らくいない場合がほとんどでしょう)、自らの実践を振り返り、主体的に改善していく力が求められます。

このような自己省察力を身につけるため、目標を立てて実践し、うまくいかなかったことを修正したりそこからできたこと・できなかったこと・関心を持ったことなどについて言語化・意識化し、フィードバックを受けて次のアクションに反映していく活動がこの実習の軸です。

ピア・ラーニング

この育成プログラムの受講生は2名ですが、
講師とマンツーマンではなく2名というのがこのプログラムの肝になっています。

2人の受講生には、基本的に協働で授業の準備をしてもらっています。その方が、自分以外のアイディアにたくさん触れることができるからです。

また、目標設定や振り返りの際は、講師だけでなく、受講者同士のフィードバックも行ってもらいます。これは、フィードバックされる側からの視点では、多様な視点に触れ、多角的に考える力を身につけるため。またフィードバックする側の視点では、もう1人の授業を見る際にもフィードバックを意識して、良かった点、改善すべき点、自分ならどうするかなどを考えながら見てもらうことです。

このピアラーニングを取り入れたプログラムは実習というよりチームティーチングをやっているような感じで、みんなで教室を良くしていこうという雰囲気の中で進行するのでとても活気があって楽しいです。
このプログラムが終わっても、1クラスを複数名で持ち、このように相談しながら教室を作っていく体制が作れたらベストだと思うくらいです。

実は、研修の企画当初は「マンツーマンの方が指導しやすいのでは?」と考えていましたが、プログラムを監修頂いている中川先生から「ピア・ラーニングの観点からは受講生は2人以上いた方が良いですよ」というアドバイスを受け、2〜3名想定で研修を練り直しました。この時中川先生から助言をもらっていて、本当に良かったと思います。

尋常でない意欲

受講生のお二人は学ぶ意欲が尋常でなく、研修を作る側としては大変やりがいがあります。

授業後のフィードバックの時に

「本当にそれだけですか?
 もっと言ってください!」

なんて言われたり

「毎回『どうしよう~しんどいな~』とか思いながら学べていることがとても幸せです!」

と、学習意欲の塊のようなコメントも飛び出します。

中でも一番嬉しかった言葉は

「最初は、実習がしんどくて嫌になっちゃったらどうしよう…と不安だったんですけど、いざ始まってみたら、全然嫌にならない!
むしろ、毎日授業をしたいって思うくらいです!」

いやー…
こんなこと言われちゃった日には、
涙腺ガバガバの私は一撃です。
研修講師冥利に尽きますね。

そうなんです。
地域で教えるって、めちゃくちゃ楽しいんですよ。
そのことを分かってもらえて、私は嬉しい。

決まった教材や教え方もない中で、授業の準備をするのは本当に大変です。正解のないことを自ら考えて判断しないといけないのですから、本当に悩みます。時間も労力も相当かかります。
でも、それが上手くいって、学習者たちが満面の笑みで

「ありがとうございました〜!
 先生、また来週〜!」

と帰っていった時の喜びは、他ではなかなか味わえるものではありません。

そんな大変さや喜びを分かち合える仲間ができたことが、嬉しくてしょうがないです。

まあ、私が嬉しくなることがプログラムの目的じゃないんですけど(笑)

受講生のお二人は、そう遠くない日に地域日本語教師として一人立ちできるようになるでしょう。

いわき市の日本語教室の未来は明るいぞ!



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