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地域+大学の小さな地域日本語教室講師育成プログラム 実習編その1:概要

教育プログラムは実習段階へ

先日、こちらの記事でご紹介した地域日本語教室講師育成プログラムですが、

5月から受講生に実際の教室で授業の一部を担当してもらう形で実習に入っています。
かなり気合を入れて事前プログラムを組んでおいて言うのもなんですが、実際のところ、どんな素晴らしい事前研修をしたところで、やはり実践以上にパワフルな学びはありません。
というわけで、講師育成プログラムの本番はここからです。

実習の目標

前提として、この教育プログラムは前期と後期で1セットです。
前期は5月-7月の8回(2.5h/回)
後期は9月‐11月の8回(2.5h/回)です。

で、前期の育成プログラムの目標がこちら。

期初の企画書には左側のざっくりとした目標しかなかったのですが、流石に漠然としすぎているため、実習開始前に達成基準を(慌てて)明確にしました。
迫りくる列車を背に、必死の思いでレールを敷いていく感覚。
ゼロスタートの新たな試みならではのスリルです(笑)
で、できあがったのがこちら。

「この研修を終えたとき、どの様なことができるようになっていてもらいたいか?」を考え、経験者による足場掛け(自立できるようになるまでの支援)を行う想定で、自立した地域日本語教師になるまでの能力記述(Can-Do)を5段階で作成してみました。そして前期ではこのうちレベル2を達成することを目標にしました。
そしてここにもう一つ、「何をもってこのレベルを達成したと判定するか」の基準を作りました。

最初は、「達成」「未達成」の2段階しか設定していなかったのですが、中川先生から「達成」も「どうにか達成」できたのか、「ほぼ完璧に達成」できたのかなどの段階を設けた方がいい、とのアドバイスを頂き、いわゆるルーブリックの形になりました。

「第何週にレベル〇の達成度を確認する」など、あらかじめチェックポイントを決めて、自己評価」+「講師による評価」で達成度合いを確認し、OKなら次のステップに進みます。

実習のルーティン

実習のルーティンは以下のような感じです。

日曜日

<教室(授業) 2.5h>
対面授業+オンライン授業のハイフレックス型授業です。
(ハイフレックス型授業については後日詳しく紹介したいと思います)
予め決めておいた担当パートの授業を、私と受講生2名の3名で協力して行います。

<振り返り+次週打ち合わせ 1h>
授業の後、所感を共有したり、フィードバックを行ったりします。
また、次の週の教室のCan-Do、シラバスを確認し、どのパートを誰が担当するかを決めます。

金曜日

<準備プログラム 1h>
これはリモートで行います。
1. 前週の教室の振り返り
2. 次回の教室の目標
➔上記2つについて、受講生それぞれに共有してもらった後に、意見交換。
これを30分くらいでやります。
その時に使うシートはこんな感じです。

毎回、目標やそれに対する達成度合い、それ以外に関心を持ったことなどが可視化されるので、
これを繰り返すことでかなりパワフルな学びになっていきます。

3. 次回の教室の流れや教材等の確認
➔受講生の方が準備してくれた授業計画や教材を共有してもらい、私や監修頂いている大学の先生からフィードバックを行います。受講生が迷っている箇所を、みんなで話し合って決めたりもします。これを残りの30分でやります。

…そして日曜の授業(最初に戻る)、というのが毎週のルーティンです。
1回の授業について、このような流れでPDCAを作っています。

このプログラムのいいところ

手前味噌ですが・・・
個人的にこのプログラム、かなり良いと思ってます。
どこが良いかというと、

  1. 授業の部分的な担当から始めて、段階的にステップアップしながら実践験が積める

  2. 毎回の目標設定➔振り返りの繰り返しにより、改善点やできた点が明確になり、成長が実感できる

  3. ICTの活用方法を実践しながら学べる

  4. 困ったこと、悩んだことがあれば、いつでも相談できる人がいる環境の中で、安心して実習ができる

といった点です。
経験者のサポートを受けながら安心して現場で実践経験が積める点は、少人数の地域主導型研修ならではだと思います。
受講生+私のLINEグループを作って、不安な点はいつでも相談に乗れるような体制を作っています。
実際、受講生のお二人の授業は回を重ねるごとにどんどん進化していっており、やはり実践に勝る学びはないと実感しています。

私が教室の講師になった時は、何もない中で手探りのスタートで、
未熟なのは仕方ないとしても、未熟な点を指摘してくれる人がいなかったため、毎回の授業について「本当にこれでいいのか?」と不安を抱えたままずっと授業をしていました。

自分に続く講師の人には、そのような苦労をしてほしくないという想いが、このプログラムの企画につながっています。

毎回、お二人からは自分になかった視点やアイディアをもらったりして、むしろ、私が勉強させてもらっています。

私、こういう、仲間と一緒に成長していける体験がたまらなく幸せなのです。
変態ですかね?
これが幸せすぎて、教育の仕事をしているのかもしれません。



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