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労災事故で多い転倒を防ごう!

労働災害発生状況をさらっと読んだのですが、「転倒」「動作の反動・無理な動作」が気になりました。

【参照】令和4年労働災害発生状況の分析等
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/s22-16.pdf

事故の型で最も多い「転倒」は死傷災害全体の26.7%を占めていて、前年比4.8%の増加。5年前の平成29年から約25%の増加になっています。

45歳以上の転倒事故が増えてはいますが、特に70代の転倒災害について平成29年(5年前)の2倍以上になっているのがとても気になりました。
高齢者雇用により70代になっても働く人が増えたのだろうと推測した通り、70~74歳の労働者数は1.5倍、75~79歳の労働者数は2倍になっています。(P20)

このことから高齢者の安全管理がとても重要になるのではないかと思うのですが、どのくらい安全教育をしているのかが気になるところです。

何もないところでもつまづき、しかも立て直す力が若い人と比べてないであろう高齢者、若い人とは体力も判断力も反応もぜんぜん違うであろうから今まで通りの安全教育で事足りるとは当然思えません。

職場内、作業場内や通路の整理整頓がきちんとされているか、段差が多くないか、什器などの配置は適切か、床がぬれていないか、汚れていないかなど基本的なことができていないのは問題外ですが、中央労働災害協会のリーフレットによると何もないところでつまづいて転倒、足がもつれて転倒が27%とのこと。

【参照】https://www.mhlw.go.jp/content/001101746.pdf

何もないところでつまづいたことによる転倒をした人の年代がどのあたりなのかはこのリーフレットからはわかりませんが、年齢が高いほどその傾向はあるのではないかと推察します。
(転倒防止の足腰づくりなどは高齢者を対象にしていることが多いことから)

また急いだり焦ったりすることでも転倒を誘発する可能性はあります。
自分の親を見ていても思うのですが、高齢者の方々は自分ができていないこと、動作が遅いこともなんとなく感じており、「急がなきゃ(他の人に迷惑がかかる)」などと考え、焦りにつながり、慌ててしまって何もないところでつまづいたり、周囲に気を配れず足元の段差や物につまづいたりするのでは?と思います。若いころにできていたことだから今でも軽やかにできるという”思い込み”もあると思います。
若いころのように反応が数テンポ遅れることもあり、余計に焦って動いてしまう。体と頭が同時に反応していないというか。。。

人手不足からこれからますます高齢者の方々の雇用もしていくことになると思いますが、ケガや病気によりせっかくの人材を手放すことになりかねず、安全教育をしっかり行っていかなければならない時代に来ていると思います。

危険な業務や機械類を扱う製造業や建設業では命に直結することが多くあり、安全教育は必須だと思いますが、たとえばパソコンとにらめっこしているような職種では時間を取って安全教育を行うことはなかなかしていないのではないでしょうか。
せめて厚生労働省の安全サイトにあることくらいは周知してほしいなと思います。

【参考】働く高齢者に特性に配慮したエイジフレンドリーな職場づくりを進めましょう
https://www.mhlw.go.jp/content/000691520.pdf
補助金があるみたいですね。【エイジフレンドリー補助金】
https://www.mhlw.go.jp/content/001107783.pdf

若い人たちに転倒事故がないわけではないので今はピンとこない若い人たちも含め、体力づくりやストレッチなどを会社主導で行っていくことが大事かもしれませんね。

メンタルヘルスの観点からも気分転換として、ストレッチなどいったん業務から離れる時間を持つことは大事だと思います。

≪Profile≫伊藤社会保険労務士事務所
東京都社会保険労務士会 所属
特定社会保険労務士 伊藤 綾子
2005年4月 渋谷区にて事務所開設
2011年11月 豊島区に事務所移転
★組織改革支援★組織・人材活性化支援★
伊藤からの質問「どういう組織をつくりたいですか?」


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