猫を見るたびに思い出してしまうこと

2022年2月22日の2がたくさん並ぶ猫の日。

可愛い猫の画像がSMSにあげられて癒される。愛猫を普段以上にこれでもかと愛でる。

それが普通なのでしょうが、私にとって猫という愛らしいいきものは、どうしても人間の身勝手さ、エゴとセットになってしまいます。

猫を愛している方、グロテスクな表現が苦手な方にとってはかなり衝撃的な内容になるので、ここから先の文章は読まずにこの記事を閉じる事を推奨します。



私は昔、動物看護師として動物病院に勤めていたことがあります。当時は動物看護師の資格を持っていなくても働けたのです。

私がたたき上げの動物看護師となった事情は、今回の記事では割愛します。

人間性にかなり難がある院長や獣医師に怒鳴られたりしながらも、なんとかハードな日々を乗り越えて1年が経った頃。

猫を多頭飼いされているとある飼い主が自身の飼い猫♀と来院されました。

「妊娠しているかもしれないので、堕胎手術をしてほしい」

と。

その方の飼い猫♀は未避妊で、他に飼っている猫達も未避妊、未去勢だったようです。これ以上猫が増えても飼えないそうです。仔猫が生まれてから里親を探す、という選択肢は無いようでした。

手術当日までに、何度も早く生まれてこい、と祈りました。堕胎手術なんてしたくない、早く生まれてこい、早く、早く…。

そんな願いも虚しく、手術当日になってしまいました。先輩達が手術の助手を嫌がり、私が堕胎手術の助手を務めることになりました。

ここから先、グロテスクな表現があるので、苦手な方はこの記事を閉じてください。



堕胎手術と言っても、手術内容は避妊手術(卵巣子宮摘出術)と変わりません。違いはその子宮に新しい命が宿っていることです。

開腹して、パンパンに膨れた子宮。子宮を摘出する前に、子宮と繋がっている太い血管を結紮(けっさつ)します。するとどうなるか。

血液が子宮に送られなくなり、少しずつ子宮の色がピンクから紫に変わっていきます。

ああ、死んでしまった。生まれる前に、この子達は死んでしまった。人間のエゴで、この子達は死んでしまった。

摘出された子宮は、手術の外回りをしている先輩方が膿盆で受け取ります。まずは摘出した子宮の全体写真を撮ります。

その後、使用後のメスの刃で子宮に切り込みを入れて一体だけ取り出し、写真を撮ります。なぜ写真を撮るのかと言うと、飼い主に見せるためです。

あなたが見捨てた命です、と。

摘出された子宮は、他の動物病院ではどうかはわかりませんが、私が勤めていた病院では燃えるゴミとして処分していました。

中身が見えないようにポリ袋を何重にも重ね、発泡スチロールの容器に入れて、契約しているゴミ収集業者に回収してもらっていました。

堕胎手術は、滅多にありません。ベテランの先輩方ですら初めての経験でした。

その年だけで堕胎手術を3回もしました。全ての堕胎手術で、私は助手をしました。

堕胎手術の予定が入る度、早く生まれてこい、と祈っていましたが、その祈りが神様とやらに届くことはありませんでした。

動物病院が堕胎手術を勧めることはありません。母胎に命の危険がある場合はやむを得ず…ということがあるかもしれませんが。

堕胎手術は飼い主の強い希望があって、初めて実施されます。

もしも避妊手術をしていたなら…去勢手術をしていたなら…こんな悲しいことにはならなかったはずです。

もう動物看護師を辞めて何年も経ちますが、猫を見るたびに思い出して、少し悲しくなってしまいます。

コミックエッセイとしてこの話を発表したいと思っていたのですが、かなり重い内容なので1度文章にしてみましたが、勢い任せに書いた乱文になり読みづらかったかと思います。

こんな拙く長い文章を読んでいただき、ありがとうございます。









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