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ラファエル・サバチニ資料集

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ラファエル・サバチニ関連の断片的な試訳と雑文など。
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#フランス

『スカラムーシュ』英国オリジナル版 第Ⅲ部 第ⅳ章 幕間狂言

はじめに今年は英国で "Scaramouche" が刊行されてから丁度100年ということで、日本で翻訳刊行されたバージョンからはカットされている章、オリジナル版では第Ⅲ部第3章「議長ル・シャプリエ」と第4章「ムードンにて」の間にはさまっていた CHAPTER IV. INTERLUDE をざっと訳してみました。 オリジナル英国版についてはこちら↓ 第Ⅰ部 第1章の未訳部分についてはこちら↓ 第Ⅲ部 剣  第ⅳ章 幕間狂言 数日後、ル・シャプリエがアンドレ=ルイの許に返礼

『スカラムーシュ』英国オリジナル版第Ⅰ部第ⅰ章 共和主義者 冒頭

はじめにラファエル・サバチニの代表作『スカラムーシュ』は英国で刊行されたオリジナル版とアメリカで刊行された短縮版の2バージョンが存在したのですが、流通量的には圧倒的に米国版が多く、現在では英国内で新たに刊行される際は米国版を底本としている模様。 海外で翻訳される場合の底本もほとんどが米国版で、日本で現在手に入る大久保康雄 訳と、加島祥造 訳はどちらも米国版が元になっており、恐らくこれまで英国オリジナル版が翻訳された事はないのではと思われます。 五年ほど前にこの件を知り、続

5月21日からラファエル・サバチニ作『The Lost King~失われし王ルイ=シャルル』を翻訳連載予定

『スカラムーシュ』英国版と米国版

初読から20数年目にして知った真実ラファエル・サバチニの『スカラムーシュ』には、オリジナル英国版と短縮米国版があり、日本で長年親しまれてきた大久保康雄先生の翻訳版は米国版を底本にしている。したがって、我々が読んでいたスカラムーシュは完全版ではない……! プロジェクト・グーテンベルク・オーストラリアにアップされている両バージョンを比べると 英国版には第三部の III. PRESIDENT LE CHAPELIER(議長ル・シャプリエ)と V. AT MEUDON(ムードンに