230714
忘れていた夏の暑さをじわじわ思い出させる湿度と気温がまとわりついていることに気づきはじめた夜、我が家のエアコンが突然息を引き取った。もともと部屋に備え付けてあったエアコンだった。調べてみたら2004年製と書かれていた。大往生である。
実はことしの春に給湯器も壊れた。これも2000年代製造のものだった気がする。おそらくマンションが建ったころにつけられたものと思われる。このまま備え付けのあらゆるものが次々に壊れていくいちねんになりそう。
ちなみにスマホのカメラも壊れた。
ひとり暮らしを始めていつの間にかいちねんが経っていた。
ノリと勢いで家を出てひとりで暮らし始めて、ぼんやりしているうちに二年目がはじまっていた。
引っ越してきた当時、町はもちろんわたしの町ではなく旅先のようなよそよそしさがあったし、家もどこか自分の居場所という感覚がしなかった。実家は実家で、家を出て早々にわたしが使っていた部屋は母の寝室になり、立ち寄るたびにちいさな模様替えがされていて、においも変わって、じぶんの家になじむよりも早くわたしの知っている場所ではなくなっていた。それがわるいこととは思わないけれど、仕事がうまくいかなくなって泣いてうずくまって暮らしていたころ、じぶんの居場所が家にも実家にも職場にもなくなってしまったようで、やりたいこともいきたい場所もなくて、余計に気持ちが重たくなる日々だった。
いまもそう大して状況は変わりないのだけれど、家は巣として認識しているし、実家はちゃんと〝いつでも帰っていい場所〟として認識できている。外を出歩いていないので町はいまだにじぶんの住む町とまでなじんでいないけれど、少なくとも旅先ではなくなっている。よく行くスーパー、ドラッグストア、コンビニ。少し歩いた先に公園があること。周辺に高校が3校くらいあって夕方には買い食いしている高校生たちがいること。救急車と消防車がやたら通ること。子どもが多いこと。近くの商店街に気になるお店がいくつかあること。
ひとりで暮らすことに適性があるな、という印象は変わらない。だからいろいろ苦しかったいちねんだけれど後悔はしていない。いつか実家には戻るつもりでいるものの、それまではわたしだけの生活をもっとだいじにして楽しめる日々にしたい。
さいきんはそうめんを食べている。
シンプルでおいしい。