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190101

 片手に収まる四角い液晶を手放せないでいる。だれかの営みや呼吸、言葉、感情、その存在をたしかめては安心する。ここにだれもいなくたって生きていけるだけのしなやかさは持っている。持っているけれど。
 テレビはずっと沈黙したままだった。いつかだれかが弾いたピアノジャズの音楽と、ときおり窓を鳴らす風の音と、四角い液晶のなかで息づくだれかの生活の気配だけで、あとどれくらい生きていけるだろう。