見出し画像

第9回 民法

皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。

このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。


ぜひご活用いただけましたら幸いです。


では早速、第9回のQ&Aを始めていきましょう。



【問題1】

Aの子BからA所有甲土地を購入したが、Bには賃貸権限しか与えられてなかった。買主としてどうする?



○テーマ
民法 総則 代理



○結論
このケース、買主としては、複数の手段を考えることができる。
・Aに追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をする。
・契約を取り消す。
・Bに無権代理人として責任追及する
・表見代理の成立を主張し、Aに甲土地の引渡しを求める。
・Bに不法行為に基づく損害賠償請求をする。


○解説
代理人Bが権限外の行為をしているため、無権代理となる。

無権代理の場合、代理行為は無効であり、本人Aに契約の効果が
帰属しないのが原則である。

この前提を確認した上で、相手方の保護(買主がとり得る手段)を
検討する。

まず、買主は、催告権を行使できる。この場合、買主の主観は問われない(悪意でも可能)。
期間内に確答がないと、本人Aの追認拒絶とみなされる。


次に、買主は、取消権を行使できる。
この場合、買主は善意であることが要求される。
善意であれば、過失があっても構わない。

ただし、本人Aの追認があると取消権は行使できなくなる。
また、これを使うと、無権代理人に対する責任追及や表見代理を
使えなくなる。


さらに、買主は、無権代理人Bに対して、履行の請求か又は損害賠償請求をすることが考えられる。
いわゆる、無権代理人に対する責任追及である。

今回のケースであれば、甲土地の引渡しを所有者ではないBには求められないため、損害賠償請求となるであろう。

この責任追及をするためには、本人Aが追認をしないこと、無権代理人Bが自己の代理権を証明できず、かつ、行為能力の制限を受けていないこと、買主が善意無過失(ただし、Bが悪意であれば、買主は有過失であっても構わない)が求められる。

そして、権限外の行為であるため、無権代理でありながら、本人への効果帰属を認めるという、“表見代理”の成立も可能性はある。

この場合、買主には、代理人の権限あると信ずべき正当な理由(善意無過失)が要求される。

最後に、このような行為をしたBには不法行為が成立している可能性がある。
その場合、買主は、Bに対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることもできる。


【問題2】

>>>続きはこちらから無料でご覧いただけます。