飢餓の村で考えたこと 3

 はじめに

1972年独立戦争直後のバングラデシュ(以後バングラと表記)で復興支援をするために日本のキリスト教系のいくつかの団体が合同で、現地で日本製耕耘機を動かす人を募集した。その活動に参加した約50名が4か月間現地の農村で耕耘機を動かして復興支援活動を行った。そしてこの復興支援活動から2つのNGOが生まれ、そのひとつが「シャプラニール=市民による海外協力の会」(以後シャプラと表記)である。

私(著者)は発足間もないシャプラの駐在員として1976年から77年にバングラの最も貧しい農村だったポイラ村で活動を行った。当時のバングラは飢えに苦しむ人々が大勢いて治安も悪かった。私も村での駐在期間中強盗に襲われる体験をした。

しかしそんな中に飛び込んだからこそ体験できたことがあった。飢えに苦しむ貧しい人々がいる村の生活を体験した。同時に歴史も文化も違うこの村でなければ経験できなかったであろう多くのことがあった。日本に帰国してから今日に至るまでこの時のポイラ村の体験の意味を考え続けてきた。これをまとめたものがこの本なのだ。

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