いとバイ通信 2-18

いとバイ通信 2-18

ヤスパース精神病理学から心理学へ

まずこれから書く内容の前提を書いてみます。私は哲学を学問として学んだことはなくヤスパースファンの「おたく」的存在です。だから学問的大きな裏付けはないが私自身が自分の中で解釈したものをそのまま書く方がいいのかなと信じて以下書くことにします。

精神病理学者となったヤスパースは次に心理学に進んでいきました。精神病理学が精神の病理を研究するのに対して心理学とは病気ではない人たちの心理を研究します。いくつかの心理学論文を発表したあとヤスパースは心理学の限界に近づいていきます。

それが「世界観の心理学」です。ここで取り上げられる世界観は人類史上の大哲学者たちでした。ここには宗教の教祖も含まれています。ヤスパースにとっては教祖も一哲学者なのです。なぜ一般人ではなく大哲学者を対象にしたのでしょうか。

大哲学者は一人一人究極とも思える世界観をもっています。それぞれの世界観を究極まで追求したからこそ大哲学者になったのです。未開だった分野を一人一人の哲人が究極まで追求した世界観を研究テーマとしたのです。

もし「普遍的な真理」があるのでしたらこれらの大哲学者たちの世界観には「普遍的な世界観」という共通なものが現れるかもしれません。しかし現れなかったのです。ヤスパースがこれら大哲学者たちの世界観を集めてみると究極の個性的な特徴が現れたのです。私はこの究極の個性を実存と理解しています。

私が通っていた内科医の重田英世先生は日本の著名なヤスパース研究者でありヤスパースの著書数冊の翻訳者でもありました。その重田先生によればヤスパースの「世界観の心理学」が実存哲学の最初の著書だと言われています。

それまで哲学とはすべての人に共通する「普遍的真理」があるものという前提でその真理を探す道程だったように思います。しかし「世界観の心理学」によって一人一人の実存によって真理の特徴があることが分かったのです。

私の浅い知識でこんなことを言っていいのか大いに不安ですが思い切って書きました。どうぞご批判ください。

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