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怠け者の烙印を自分で押している。

事の起こりは人間ドックであった。
ここ数年高めだったコレステロールが、体重増加とともにぐんと上がり、とうとう高脂血症D・要精密検査、の判定が出てしまったのだ。

40代も後半にさしかかり、わたしの血はドロドロだ。血管に泡沫細胞が累々と重なって粥状となり、血管を詰まらせようとしている。夜中に原稿を書きながら、何かの拍子に死んでしまうに違いない。

そんなショックを、たまたまメッセンジャでやりとりをしてた海外在住の後輩に語ったところ、ごりごりトライアスロンで鍛えている後輩は「今ならまだ取り戻せます。なんなら俺がトレーニングメニュー作りましょうか」と言う。なんと渡りに船、とばかりに厚意に甘えることにした。

後輩はわたしの生活リズムをヒアリングし、ジョグと高強度トレーニングを組み合わせたメニューを考えてくれた。すばらしい。かっこいい。そんなメニューをこなして一気に血中LDLを減らしていくわたしも、かっこいい。そんなポジティブなイメージがわたしのなかに生まれる。

高強度トレーニングは、心臓が耐えられるかどうか運動負荷試験をしてからやってくださいという後輩の指示にしたがい、クリニックの予約を済ませ、まずは朝8時に子どもを送り出してから仕事にとりかかる10時までのあいだにジョギングをはじめることにした。

始めて10日ほどにしかならないのだが、しかしこの新しい習慣はわたしの人生において、かなり大きな驚きと新たな喜びをもたらしつつある。

つまり、もう10日もつづいているのだ!このわたしが!!朝のジョギングを!!!

信じられますか、そんなことが。4月までのわたしよ。

わたしはほんとうに怠け者であった。仕事をしたくないから、朝につとめて二度寝をしようとする。スマホを見ながらゴロゴロ。仕事をはじめるべき時間になっても起き上がれない。そんなじぶんに嫌気がさしていながら、行動を変えられない。自己嫌悪にさいなまれるうえに仕事は溜まり、しかも太っていく。最悪のスパイラルだ。

いまのわたしはといえば、「今日はちゃんとラン行けるかな」と、いそいそとした気持ちで1日のスケジュールを確認し、最低でも20分走ろうと決めてジョギングに出る。戻ってきたらシャワーを浴び、穏やかな気持ちで一日をはじめることができている。

これができるようになったのにはいくつか小さなポイントがあるのだが、それらがうまく作用したことによって、わたしはジョギングを「習慣化」させることに成功したようだ。

ダイエットを成功させるコツは習慣化だ、と指摘していたのは、石川善樹先生の『最後のダイエット』だったと思う。わたしはなかなか悪い習慣を改めることができなかった。自分の意志の弱さを責めれば責めるほど、抜け出すことができなかったのだ。

しかし今回のことで、「怠け者の自分は行いを改めなくては!」などと思うこと自体が、じつは悪い習慣にますます浸かる結果を呼んでいるのではないかと思うようになった。うまく言えないんだけど、「ダメな自分、ダメダメ!」と意識を向けることで、ほんとうにダメな行動をしてしまってる状態。「お茶碗割るかも!」と思ってると実際にお茶碗が滑って落ちて割れちゃう、みたいな感じですかね。

怠け者だと自分に烙印を押してるのは、ほかならぬ自分の意識だったんだな。

ランニングを続けられるようになった成功ポイントは自分自身で組み立てることができたわけではなくて、いろいろな外的内的要因が重なった結果だけど、まああまり難しく考えずに、明日もまた一歩を踏み出せたら、きっと気持ちがいいな。

#日記 #生活

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