タイムふろしきがあったなら
操作イトウです。
お家にいる時間が長いと、YouTubeに耽ってしまいますね。
関連動画とか別に観ても観なくてもいい物も、
なんかボケ〜っと、していまいます。
ですが、出会いもありました。見ていてこんな動画に出会いました。
大人のヘアケアCHANNELの名村さん、コメントに返信いただいてから時間が経ってしまいましたが、
今さら投稿します。ありがとうございます。
この動画に、美容師目線で激しく共感しました。
こういった事例には、僕も何度か立ち会ったことがあります。
上手い美容師、下手な美容師の差は何なのか。
僕自身、自分がべらぼうに上手い美容師だとは思っていません。が、
これに関してはたくさん言いたいことがあります。
この動画をたくさんの一般の方に、また美容師さんに見てほしいと思っています。
さて、何故こんなことになってしまうのか。
ブログ内でも繰り返し言っていますが、
髪の毛は死んだ細胞です。
髪の毛は根元から生えて、毛先は何年前に生まれたものかわかりにくくなります。
髪の毛には自然治癒力がありません。
髪の毛が経験してきた履歴は、カットにおいても薬の処置においても、変わることなくそのまま残ります。
髪の毛についての詳しい説明はこちら↓
当たり前ですが、
髪の毛は切ったが最後、過去には戻れません。
美容師は『タイムふろしき』は使えません。
チクタク時は戻せないのです。
美容師の施術は基本的に、やり直しが効かない事を前提に進めているので、
やる前から「これ以上はヤバい」と分かっている時は、どれだけお客様が懇願しても、美容師さんは明確に「できません」と断ります。
じゃないと自分の失敗になるからです。
安易に「できます」と言うと、できない(やったことがない)のに自分のハードルを上げるだけです。
美容師には、課題を解決できる時と、できない時があります。
お客様のヘアスタイルの希望が、髪質やダメージ具合、予算や滞在時間の枠に収まるかを、始める前に判断しなければなりません。
見切り発車はできません。
お金を戴く以上、それは最低条件です。
例えば、ステキな髪色にするためにブリーチをすることも多いですが、
ブリーチをした髪の毛には大きな負担がかかるので、手触り感が悪くなるのは、ある程度覚悟する必要があります。
また例えば、バレエスクールに通う子に、
チコちゃんみたいな前髪はススメられません。
発表会の時にポニーテールの位置で留めるようなヘアスタイルにするためには、前髪は長くないといけません。
可愛いヘアスタイルにした後の髪の毛がどうなるのかをリスクマネジメントしながら、
メリットとデメリットをお客様に知ってもらった上で施術することになるのです。
ですが動画に載っていたようなお客様の状態は、明らかに美容師側のミスです。
髪がジリジリしているのは薬剤によるもので、リスクを想定できていなかったのだと思います。
その美容師さんも、絶対バックルームで「やっべ〜、やっちまった」と悲壮感に溢れていると思います。
ですがスカスカなカットの方に関しては、その美容師さんがミスだと感じているかどうかも怪しいです。
『正しい』をそもそも教わっていない、
『間違い』を『間違い』だと判断できる目を持っていないように感じます。
勉強不足だといえばそれまでですが、その美容師さんが何を『正しい』と教わってきたのか、が疑わしいです。
まともな指導を受けないまま、我流であの手この手を続けているのでは?と勘ぐってしまうし、
実際にそういった経歴の美容師さんは、少なからずいます。
ここには、美容界の根本的な在り方が関係しています。
美容師が誰に技術を教わるのか、
美容師免許は何のための資格なのか。
このことは僕がnoteを始めるにあたって、一番伝えたいメインテーマの1つです。
これは、美容界に深く根を張る問題だと考えています。
古い形のまま残っているその形態は、いい人材を育めないまま、
結果、お客様がいい美容師さんに出会うきっかけを削いでしまっているのです。
『タイムふろしき』さえあれば、と妄想に耽ってもいられません。
お客様がどうすればこういった失敗を避けられるのかについても
今後挙げるつもりなので、
既にステキな美容師さんとの出会いをした方も、まだ出会えていない方も、
美容師を選ぶ物差しになればいいと思います。
ではまた。
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