見出し画像

今さら聞けない「ヘアブリーチ」どうなってるの?

操作イトウです。今回はブリーチについて。

昨今のインスタやK-POPアイドルの活躍もあり、ハイトーンカラーにチャレンジする方が増えています。カッコいい反面、お金をかけたのに髪はガシガシになるし、色もすぐに抜けてしまう。それってなんで?

そんな貴方に「ブリーチした髪ってこういうこと」という基礎知識をお伝えします。

ブリーチは「脱色」とも呼びますが

ブリーチ(bleach)とは、その名の通り〈漂白〉です。つまり漂白剤

髪の毛に使われる〈漂白剤〉は薬機法で定められているため、キッチンで使われる物よりも微弱。ですが薬剤を指で触るとヌメヌメして、少し皮膚が溶けるような、あの感覚になります。

そのため普通のヘアカラーよりかぶれやすいので、皮膚が弱い方は美容師さんに必ず一声掛けるようにしましょう。

髪の毛は、どこからが「金髪」?

髪の明るさには「トーン」と呼ぶ尺度で1〜20に振り分けて数えられる、スケールがあります。

コチラは「カラーチャート」という毛束のスケールです。お客様の髪の毛と見比べたりして使う、“トーンの定規”のようなものです。

画像3

これはどこの美容室にも必ずあります。ですが日常的に髪に触れる美容師は目視でトーンを判断できるため、使う場面は少ないです。

髪の毛は明るくなるにつれて、

 黒 → こげ茶 → 茶色 → 黄色 → 明るい黄色 → 白 

に変化していきます。

多くの日本人の地毛は4〜5トーンです。1〜3トーンは黒々としていますが、ここまで地毛が黒い方は少ないです。1〜3トーンに黒染めしたり、この色のウィッグをかぶると、見た目に違和感を感じるほど黒く見えます。

画像10

また地毛が6トーンだと、周りと比較すると少し明るく感じられます。一般的に「茶髪」に見えるのは6〜13トーンです。

画像6

10トーンを過ぎると「明るい茶髪」な印象になります。14トーンからがいわゆる「金髪」です。

画像10

その後は徐々に黄色味が薄くなり、白に近づきます。

画像8

ちなみにこの「カラーチャート」には、“色味”は入っていません。色味は色それぞれの明るさが違うので、例えば同じトーンでも、“赤っぽい”茶髪と“黄色っぽい”茶髪のトーンは少し違って見えます。

金髪はなんで黄色い?なんでパサパサ?

一般的に「金髪」の呼び名で通っているブリーチ毛ですが、そもそもなぜ脱色した髪の毛は黄色いのか?

これは髪を色付けている「黒い色素」が関係しています。

髪の毛はこんな「海苔巻き」のような構造をしていて↓

画像1

「キューティクル(海苔)」が鱗のような状態で表面を覆い、鎧の役割をしています。シャリにあたる「コルテックス(毛皮質)」の中に「黒い色素(メラニン色素)」が入っています。

これを抜くから「脱色」と呼ぶのですが、「メラニン色素」は正確には茶色です。黒髪は、茶色が沢山密集して“黒く見えて”います。メラニン色素はお肌にもあり、その量によって、それぞれの人種の肌色を形成しています。

画像11

髪の毛は、メラニン色素を外に出すことで脱色されます。このメラニン色素の通り道のために、キューティクルの隙間を広げる必要があります。

ですが広げた隙間からは、メラニン色素以外のコルテックスも流出する上、キューティクルは剥がれて脆くなり、鎧の力は弱まってしまいます。

画像2

そして、一度剥がれたキューティクルが復活することはありません。ブリーチがパサパサなのは、脱色によって髪の毛の成分が漏れることと、キューティクルがダメージを負い、今後もダメージを負いやすい状態になるからです。

つまりヘアブリーチは「ダメージを負うことが前提」のヘアスタイルなのです。

ヘアケアについての説明はコチラで↓

一回のブリーチでできる明るさは決まっている

ブリーチの薬剤は薬機法で定められてるため、一回の薬剤の効果には限りがあります。バージン毛(一度もカラーやパーマをしていない髪)にブリーチを使うと、だいたい13〜14トーンほどまで明るくなります。

メラニン色素は人によって色素量が違うため、個人差があります。ですが、この13〜14トーンの金髪は、はっきり言ってダサいです。

コチラは拾い画です、すみません↓

画像12

一回のブリーチだと、これぐらいの明るさになります(厳密に言うと写真はちょっと明るめ。テレビ仕様にカッコよく仕上げています)。たしかに明るくはなっているのですが「田舎のヤンキー感」が満載で、今の時代では、お世辞にもお洒落とは言えません。

そのためお洒落なハイトーンカラーにしたいなら、最低でも2回はブリーチを繰り返す必要があります。

色彩とブリーチの関係性

東洋人の髪質では、一回のブリーチだと“オレンジっぽい黄色”になります。複数回ブリーチをする事で黄色は抜けていきますが、中々真っ白な状態にはなりません。真っ白にするほどブリーチを重ねると、髪の毛がダメージを負い過ぎてプツプツと千切れてしまいます。

ですが、“オレンジっぽい黄色”の「キャンパス(下地)」に色を載せることには不都合が起きます。カラーサークル(色相環図)で見ると、金髪は「黄色からオレンジ」の辺りです。

色の関係性を示しているカラーサークル↓

画像13

カラーサークルは「赤と青の中間は紫」というような、色の混ざり方の関係を表しています。これにならって、例えば金髪に赤色を混ぜると、中間のオレンジになります。同じく金髪に青を混ぜると、中間の緑になります。

これではお客様のオーダー通りの色にはなりません。つまり美容師は、絵の具を混ぜ合わせるように、色を計算しているのです。

画像13

“オレンジっぽい黄色”は他の色が発色しにくい色味です。そのため「キャンパス」を白に近づけるように、ブリーチの回数を増やす必要があります。

ここまでの色にするには、黄色味を減らさないといけない↓

画像10

人気のグレージュも、黄色が邪魔してしまうと灰色っぽくならない。↓

画像9

他にも、お互いの色味を相殺する「補色」という理論を利用しています。「黄色」の反対色の「」を加えると、金髪を白っぽく見せることができるため、ハイトーンカラーに重宝しています。「紫シャンプー」と呼ばれるシャンプーは黄色味を減らすために効果的です。

ブリーチは進化している

特に最近はハイトーンのカラーの需要が増えたこともあり、「ヘアブリーチ」の進化が著しいです。

画像14

髪をケアしながらブリーチするための薬剤や技法がSNSによって美容師に広がり、「ブリーチした髪は、ガシガシに髪が傷んでしまう」という従来の価値観は変わりつつあります。

ですが、こうした最新の薬剤は高額です。また最新の技法には手間がかかるため、お店によって導入していなかったり、別料金としてメニュー化されていたりするので、美容師さんとよく相談しましょう。


Twitter、Instagramのフォローもよろしくお願いします。


LINEクリエイターズスタンプを作りました↓


ではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?