スクリティ_ポリッティ

スクリッティ・ポリッティのライブ

 スクリッティ・ポリッティの名前を知ったのは、坂本龍一さんのNHK-FMの番組、「サウンド・ストリート」(通称「サンスト」)だった。
 調べてみたところ、この番組は、1978年11月23日から1987年 3月20日まで放送されている。ちょうど音楽に興味がわいてきた当時の若者(私だが)にはとてもいい番組だった。坂本龍一さんは、輸入盤でリリースされたばかりの、新鮮で、先端的なレコードを紹介していた。
 その番組で、坂本龍一さんがスクリッティ・ポリッティの12インチ・シングルをかけたのである。リリースされたばかりだったと思う。「Wood Beez」「Hypnotise」などである。それを聴いて、私は、そのかっこよさにやられた。そのころ、最先端の輸入レコード屋としては、六本木WAVE、渋谷CISCOなどが有名だったが、当時、埼玉に住んでいた私には、敷居が高かった。
 池袋パルコにあった山野楽器(たしか、山野楽器だった)に行って、手に入れた。チョコレートをコラージュしたジャケットもかっこよく、繰り返し聴いた。その後、一連のそのシングルは、のちに「キューピッド&サイケ′85」と題してアルバム(傑作!)にまとめられる。
 その後は、「キューピッド&サイケ’85」と同じテイストの「プロヴィジョン」を発表。テイストを変えた「アノミー&ボノミー」「WHITE BREAD, BLACK BEER」とつづく。
 さて、前置きが長くなったが、そのスクリッティ・ポリッティである。日本で、ライブをするという。2017年の11月のことだ。会場は、ビルボード東京。ミッドタウンにあるライブハウスである。
 初めてその音楽に触れてから、30年以上。迷いはない。即チケットを入手。ついにスクリッティ・ポリッティライブ初体験である。
 さて、当日。ビルボード東京に登場したボーカルのグリーン・ガートサイドは1985年当時、相当な美男だったが、60歳を超えた今は、ひげをはやしたただの初老の男である。1曲目「スウィ―テスト・ガール」をうたい出す。やや渋みを増しているが、変ってはいない。スクリッティ・ポリッティである。
 今回のライブは、ファーストアルバム「ソングス・トゥ・リメンバー」を含め、過去の5枚のアルバムからまんべんなく曲をセレクト。さながらスクリッティ・ポリッティの歴史を振り返ったかのようである。
「キューピッド&サイケ’85」の曲も、ほぼ当時のアレンジのまま演奏。グリーンはたしかに初老である。だが、そのうたう顔を見ていると、あら、若いころの顔と重なって見えてくる。
 若いころのグリーンがうたっているように見えてくる。不思議である。音楽は、時間芸術なのに、時間を混乱させる。いや、そこに、この30年の圧縮された時間が混在していた、というべきか。
 アンコールが終わったあとで、ステージからレコードを差し出すファンに、グリーンはサインを書いていた。握手を求められれば、握手をしていた。
 熱狂する観客に、グリーンは「Amazing!」といっていた。

(下の写真は、グリーンがサインを書いたレコード。写真を撮影させてもらったのである)

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