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明るい家族計画

 明るい家族計画、という単語を聞いて、くすりと笑いをもらす人は、現在、どのくらいいるのだろうか。私が子供のころは、街を歩いていると、不意に、明るい家族計画なる自販機が立っていて「なんだ、これは」と岡本太郎的感嘆にふけったものだ。
 コンドームの自販機である。
 家族計画に明るいと付けるところが気になる。暗い家族計画があったということなのだろうか。
 ネットを調べるとこんな記事が出てきた。
 
 国敗れて人口あり..。昭和20年(1945年)に敗戦を迎えた日本は、間もなく深刻な人口問題に直面しました。海外からの引揚者や復員兵らが人口に加わり、さらに彼らの結婚などによる出産率の急上昇により、人口が急増したためです。旧植民地が無くなり国土は4割減となったうえ、経済は壊滅状態でした(荻野美穂: 「家族計画」への道)。
 それでも日本が奇跡的な復興を成し遂げたのは、政府の「家族計画(人口抑制)」の推進のおかげで、その一翼を担ったのが岡本理研ゴム(株)をはじめとするコンドームメーカー各社でした。岡本理研ゴム(株)は、「文化生活は家族計画から」、「家族計画には効率の高いコンドームをお使い下さい。」などの製品キャッチコ ピーを掲載し、コンドームを普及させました。
 当時、コンドームを薬局で買うのは若干の羞恥心を伴ったことから、昭和44年、路上にコンドーム自販機がお目見えしました。現在でも住宅地などで、「明るい家族計画」とキャッチコピーが書かれたコンドーム自販機を見かけることがあるのはその時代の名残と言えます。

(みちくさ学会「コンドームのある風景(その1:戦後日本の人口問題・性病問題変遷史)」

 最近、東京の住宅地を歩いていて、偶然「明るい家族計画」を目にした。昭和が残っている。驚いたと同時に、懐かしい気がした。岡本太郎的感嘆を思い出した。
 引用の記事中、「当時、コンドームを薬局で買うのは若干の羞恥心を伴ったことから」という記述があるが、コンドームはいまではコンビニで売ってる。
 今の人は、恥ずかしがらずに買うだろう。たぶん。


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