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火山からの眺望

火山(ひやま)からは、幣(にぎ)の浜をはじめ糸島の美しい海岸線が望めるという。

車で頂上付近まで登れるとのガイドブックの記載を頼りに、506号線を芥屋方面へ。

途中からは、まさに田舎道という感じ。くねくねに曲がった道は狭く、この土地に遠い昔からある道なのだろうと感じさせる。家々が立ち並ぶ通りを過ぎると、畑になり、やがて山道になる。いよいよ狭くなり、車一台がやっと通れるような道幅で傾斜が急な道にはガードレールもまばらにある程度だ。「対向車がきたらどうするのだろう」と不安になりながらアクセルを踏むと、舗装されていない道が現れ、ところどころ大きな穴があいており、車は上下に揺れながら進むことになる。

冷静に考えてみれば、特にめずらしくもない山道である。にもかかわらず、とても心細い想いをした。久しぶりの車の運転で、慣れていないということもあるだろうが、こんなにも険しい道を進むという”想定”がなかったのだ。

ここまで考えて少しはっとした。最近は日常の中で不安な想いをすることがほとんどない。日々、小さなことでも挑戦していないというわけではないが、多くのことが”想定”の内なのだ。失敗するリスクを冒しても、失敗した状況を織り込み、最悪の状況を”想定”しているのだ。

日々の日常を危険にさらすわけにはいかないので、このような態度は必要だと思う反面、不安の無い人生を死ぬまで歩むと考えるとゾッとする。人生に真剣に向き合えば、想定の範囲の中で役割を全うすることだけが”生きる”ということではないと思う(もちろん、それはそれで非常に尊い)。自分が知らない場所をドキドキしながら探検し、自分の想定を超えたい。

そんなことを糸島の火山で考えた。



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