見出し画像

2022年映画ベスト10

noteでは1年ぶりのご無沙汰です。2022年は仕事が忙しくて新作ゲームをぜんぜんプレイできなかったりした関係で、noteで記事を書く機会がまるでなくなってしまいました。

さらに、4月に新型コロナの陽性反応が出て、その時点で体調がかなり悪かったので入院したら、じつは心筋梗塞を併発していることが発覚。その日のうちに緊急手術をして、そこから1カ月半の入院生活を送ることになってしまい。……おかげさまで今は回復して、元通りの日常生活を送っていますが。

そんな個人的に激動だった2022年も今日で終わりということで、今年観た映画の中からベスト10を選んでみました。

2022年に映画館で観た新作映画は42本。旧作を含めて初見は48本。2021年に比べて初見の数がやや減ったけど、途中で1カ月半入院していた割には、まぁがんばったんじゃないでしょうか。

というわけで、その中から選んだ2022年の映画ベスト10はこちら。なんとなく観なかった作品、観たいと思っていて観逃した作品もありますが、それも含めてご縁ということで。

  1. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

  2. レイジング・ファイア

  3. ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

  4. ミューズは溺れない

  5. トップガン マーヴェリック

  6. シン・ウルトラマン

  7. グリーンバレット

  8. B/B

  9. ハケンアニメ!

  10. バトル・オブ・ザ・リバー 金剛川決戦

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』や『すずめの戸締まり』も面白かったので、最初はベスト10に入れようと思っていたのですが、いざ10本の中に並べてみたらイマイチしっくりこなかったので、抜いた結果がこの並びです。後半のよじれ具合がいかにも自分らしくて、これはこれで気に入っています。

例年、東京国際映画祭やFILMeXから何本かベスト10に入っていたのですが、今年はそちらであまりピンとくる作品がなかった代わりに、テアトル新宿の「田辺・弁慶映画祭セレクション」で観た作品が2本もランクインしています。イベント自体も楽しかったし、今後も注目したいですね。

では、以下で各作品についてコメントを。

1. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

トム・ホランドのMCU3部作だけでなく、ソニピク実写版『スパイダーマン』全8作のピーター・パーカー3人が集結した20年の集大成。ある意味「インフィニティ・サーガ」以上の壮大なプロジェクト。その上で、これまではトニー・スタークのロビンでしかなかったトム・ホランド版ピーター・パーカーが、僕らのよく知る「親愛なる隣人」になるオリジンストーリーでもあるという周到さ。ここまでやられたら、そりゃあ文句なしですよ。

2. レイジング・ファイア

香港アクション映画の最新進化形として、ダンテ・ラム監督作品のようなエクストリームなスタントが連発されて、それだけでも十二分にスゴイのだけど。本作でぶつかり合う2人の刑事の怒りと正義の背後には、明らかに香港の街とそこに住む人々が置かれている現状が重ね合わされていて。アクション映画の枠を借りた社会派ドラマとしてのエネルギーに圧倒されました。

3. ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

急逝したチャドウィック・ボーズマンの不在をどう埋めるかという映画の外側の出来事が、映画そのもののテーマにもなっているという構成に唸る。結果、映画館で参加する追悼式典のような雰囲気も。だからこそ、アンジェラ・バセットの発する「家族をみんな捧げた」という魂の叫びが胸に響く。マジメな話、アカデミー助演女優賞を獲ってほしいなぁ。真正面から描くとマンガになりかねないサブマリナーを、あくまでもリアルに実写化した手腕も流石。そのぶん、アイアンハートはやや掘り下げ不足かなぁ。

4. ミューズは溺れない

「田辺・弁慶映画祭セレクション」で観た1本。家族との関係や友人との関係、将来への不安、同じ夢を持つライバルに対する嫉妬と憧れ。学生時代のいろんな感情が本当に繊細に表現された上で、それが「モノを作る」という行為に結実するのが素晴らしい。なんていうか、安易な言語化で感想を語ってしまうのを躊躇してしまうのですが。

余談ですが、本作を映画館で観ることになったのは、『B/B』を観に行った時に劇場の入口で、淺雄望監督ご自身から直接チラシをもらったのがきっかけです。監督、素敵な映画をどうもありがとうございました。

5. トップガン マーヴェリック

前作の『トップガン』が公開された時は、映画マニアを気取る生意気ざかりな高校生だったので、じつは観てなかったんですよ。『マーヴェリック』を観る前日にやっとBlu-rayで観たのですが、正直言ってあの頃に流行ったMV調の微妙な映画で。そんな前作からキチンとドラマを引き出しつつ、前作にはなかった仮想敵国へと殴り込む見せ場まで用意する力業に、素直に驚きました。フライトシーンの迫力も含めて、娯楽映画としてメチャクチャ良くできてます。トム様映画の中でもベストじゃないかなぁ。

6. シン・ウルトラマン

『シン・ゴジラ』に続いて本作もエキストラに参加するつもりだった(※スケジュールが合わなくて実現せず)ぐらいなので、樋口特撮で怪獣がちゃんと暴れてくれるだけでもう、ベスト10入りは確実なのですが。封切日が入院期間と被ってしまい、ネタバレツイートを見て病院のベッドで悶々としていたのが、今では懐かしい思い出です。

映画の後半は外星人同士のこんにゃく問答になっちゃって盛り上がりに欠けたり、田舎の暴走族みたいな当て漢字の連発がダサかったりと、『シン・ゴジラ』に比べるとアラが多いのは確か。とはいえ、初代『ウルトラマン』のドラマの根幹を丁寧に拾ってくれているのは、オマージュとして申し分ないです。「ウルトラマンがいれば、僕らはいらないじゃないですか」というイデ隊員の苦悩を、ジャニーズの有岡クンがちゃんと引き継いでくれているのが素晴らしい。

7. グリーンバレット

阪元裕吾監督は『ベイビーわるきゅーれ』で期待値が一気に上がったと思うのですが、そのハードルをあっさりと超えてきたのにビックリ。演技力にバラツキのあるミスマガジン6人全員のキャラをしっかり立てつつ、アクション映画としてクライマックスをキチンと盛り上げる手腕は流石。『国岡』のユニバース展開も含めて、もはや邦画でも一流のエンターテイナーでしょう。『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』も期待してます。

8. B/B

こちらも「田辺・弁慶映画祭セレクション」で観た1本。ヒロインの周囲に登場するキャラクターたちがどういう存在なのかを理解した瞬間から、映画に引き込まれて。そこからグイグイと引っ張られてたどり着いたラストは、言葉というか論理ではよく分からないけどなんだかスゴイという、良い意味で「映画的」なものだと思います。

大阪芸大の卒業制作という自主制作映画ながら、シネスコ・ドルビー5.1chといったフォーマットにこだわっていたり、キービジュアルに力が入っていたりと、作品の周辺も含めた総合プロデュース能力の高さも素晴らしいです。中濱宏介監督の今後の活躍を期待しております。ていうか、次回作の『A CHAOS CONTROL』も面白かったです。

9. ハケンアニメ!

noteのプロフィールを見てもらえば分かると思いますが、オレはアニメ関係の記事を執筆したことがあり、とりわけ本作の原作が書かれる際にモデルとなったアニメスタッフの方々は、オレも取材したことがあって。そんな観点からも、非常に興味深い映画でした。

アニメ制作の裏側がリアルに描かれているかどうかはともかくとして、広い意味での作品作りの苦しさと楽しさがしっかりと描かれていて、観賞後に爽快感のある映画だと思います。それだけに、まぁ原作の問題ではあるのですが、「ハケンアニメ」という誤解を生みやすいネットスラングがタイトルになっているのは、もったいないかなぁ。

個人的にいちばん興味深かったのは、本作の王子監督の存在で。名前も含めて、いろんな意味ですごくポイントを押さえていて、素晴らしいと思います。映画の中で王子監督の作品として出てきたアニメの内容と、そこに至るまでの王子監督の変遷も、「王子監督論」としてじつに的確だと思います。これで金髪だったら完璧でした(謎)。

10. バトル・オブ・ザ・リバー 金剛川決戦

朝鮮戦争を題材にした中国の反米プロパガンダ映画なんだけど、じつはこの作品、ものすごく特殊な構成になっていて。渡河作戦で川を渡ろうとする中国の歩兵部隊、それを阻止しようと攻撃する米軍航空機のパイロット、そしてそれに反撃する中国の高射砲部隊と、同じ戦闘を3つの異なる視点で繰り返し描くことで状況の真相を掘り起こすという、黒澤の『羅生門』というかノーランの『ダンケルク』に対抗した作りなんですよ。……まぁ、この映画は政府の指示で急遽製作が決まったらしく、超大作戦争映画を半年で撮影して公開するための、苦肉の策というのもあるみたいですが。

この構成からも分かるとおり、今の中国で映画を作っている人たちは、バリバリにハリウッド映画の影響を受けていて。同じく朝鮮戦争を描いた『1950 鋼の第7中隊』のツイ・ハーク監督なんて、かつては「香港のスピルバーグ」と呼ばれた人ですから。本作も、ハリウッド映画を大好きな人たちが作った反米プロパガンダ映画という不思議な立ち位置だけあって、コテコテにプロパガンダ臭のする一部のアリバイ的な場面を除くと、想像以上にナチュラルで興味深い映画だと、オレは思います。

………………

ベスト10外で印象的だった作品としては、ゲーム映画としても続編としても良作だった『ソニックvsナックルズ』、アイヴァン・ライトマン監督の息子が監督したというのを踏まえると映画の深みが一気に増す『ゴーストバスターズ/アフターライフ』、映画における「やり過ぎ」について深く考えさせられたマイケル・ベイ監督の『アンビュランス』あたりでしょうか。

とりあえず、無事に新年を迎えられる喜びを噛みしめつつ、2023年も面白い映画を観られることを楽しみにしています。
それではみなさん、よいお年を!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?