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2019年映画マイベスト10

 2019年は学生時代以来、けっこうな本数の映画を劇場で観ることができたので、その中からベスト10を選んでみました。もちろん観逃した映画も多いし、東京国際映画祭【TIFF】で観た2020年公開作も入っていたりして、そんなに厳密なものではないのですが。

 とりあえず、ベスト10は以下の通り。

1  スパイダーマン: スパイダーバース
2   天気の子
3  ジョーカー
4   アベンジャーズ/エンドゲーム
5  アリータ: バトル・エンジェル
6  惡の華
7  イップ・マン外伝 マスターZ
8  ホットギミック ガールミーツボーイ
9  存在するもの【TIFF】
10  Sisters(ストレンジ・シスターズ)【TIFF】


 1位の『スパイダーバース』はもう、別格ですね。オレとしては『七人の侍』や『2001年宇宙の旅』のような、数十年に1本の映画だと思っているので。今よりもむしろ30年後、50年後になった時に、その影響力の大きさがはっきりすると思います。作劇も映像表現も、それぐらいインパクトのある作品でした。

 去年ぐらいから「今の日本映画をちゃんと観よう」というのを意識していて。実際に面白い作品も多かったのですが、その中から厳選してマイベスト10に入ったのが『天気の子』『惡の華』『ホットギミック』というのは、自分ではすごく納得しています。思春期の中学生かよ、とも思いますがw

『天気の子』は、『君の名は。』が期せずして社会現象になった新海誠監督が、今度は狙い澄まして今の時代のド真ん中を撃ち抜いたという意味で、画期的な作品でしょう。個人的にはどうしても、主人公たちではなく須賀の目線で見てしまうのですが。

 日本に『天気の子』が出てきたタイミングで、アメリカに『ジョーカー』が登場して、それが日本でも大ヒットしてしまうというのも、またスゴイことだと思います。この作品については、内容的にもテーマ的にもいろんな解釈があるでしょうが、個人的にはそれらを全部含めて、まるっと楽しみたいというスタンスです。なにしろ『ハングオーバー!』のトッド・フィリップス監督ですから、どんな解釈もすべて、監督の手のひらの上だと思うので。

 『スター・ウォーズ』にしても『ロード・オブ・ザ・リング』にしても、長い物語を完結させるにはどうしても終盤に負担が来るもので。『エンドゲーム』も単体の映画として見ると、正直かなり苦しいと思います。ただ、映画23本分を費やす「インフィニティ・サーガ」のクライマックスとしては、見たかったものをすべて見せてくれた、文句のつけようのない1本です。

 『銃夢』はコミックもOVAも未見ですが、『アリータ』はジェームズ・キャメロンの偏執的なまでの世界構築へのこだわりと、ロバート・ロドリゲス監督のボンクラ映画への愛情が絶妙なバランスでブレンドされた、幸福な作品だと思います。続きも作ってほしいんですがねぇ……。

 『惡の華』も原作は未読ですが、監督・脚本・キャストと、この座組で高校生編まで実写映画化できたのは本当に素晴らしい。特に玉城ティナさんの仲村さんは圧巻でした。夜の教室のシーンだけでも、いいもん見たなぁと思います。録画したまま積んでるアニメ版も観ないとなぁ。

『イップ・マン外伝 マスターZ』は、純粋な映画としての出来は本家『イップ・マン』シリーズのほうが上だと思いますが、本作にはユエン・ウーピン監督らしい立体的なクンフーアクションがてんこ盛りで、とにかく圧倒されました。往年の香港映画ファンにとっては嬉しい1本。出番は少ないながらも、いざ暴れるとキレッキレのミシェル・ヨー姐さんも流石でした。

 個人的に2019年最大の収穫は、『ホットギミック』がキッカケとなって、MVやCMも含めた山戸結希監督の諸作品に出会えたことでした。このあたりは機会があれば、noteに改めて書いておきたいところ。『ホットギミック』は、不安定に揺れ動く堀未央奈さんのヒロインを捉えた、映像と音楽の奔流が圧巻でした。

 9位と10位はどちらも、東京国際映画祭で観た東南アジア映画。『存在するもの』はフィリピンの幽霊屋敷ホラーなんだけど、古今東西のホラー映画ネタをフル動員しているだけでなく、じつはフィリピンの政治史を俯瞰していたり、ジェンダーの問題を扱っていたりと、すごく欲張りな内容で。それでいてグイグイとエンタメで引っ張っていくエリック・マッティ監督の手腕に感服。詳しくは以下の感想も見てもらえればと思います。

そして10位の『Sisters』は、1970~80年代の泥臭いアジアン闇鍋ホラーと、2019年の洗練されたタイのポップカルチャーが正面衝突して爆発炎上したような映画。正直言ってムチャクチャな作品なんだけど、そのトンデモなさがクセになって頭を離れなくなるという。2020年3月に『ストレンジ・シスターズ』という邦題(この邦題は絶妙だと思う)で一般公開されるので、気になった人はぜひ自分の目で確かめてください。ヒロイン姉妹の妹役、BNK48ミューニックの愛らしさも必見です。

 以下では、ベスト10には入らなかったけど印象的な映画をいくつか。

 アメコミ映画はキリがないので、マイベスト10では毎回厳選しているのですが、2019年は『アクアマン』『シャザム!』と、DC映画でキッチリと楽しませてくれる作品が続いて良かったです。

 気をてらわない安定感のある作りが素晴らしかった『ロングウェイノース』、魅力的なキャラクター造形と古典に対するアプローチの上手さが印象に残った『白蛇: 縁起』と、2019年は海外アニメの良作が次々に公開されたのも、嬉しかったところ。『幸福路のチー』や『羅小黒戦記』をまだ観られていないのは残念ですが。

 日本の長編アニメでは『HELLO WORLD』も良かったのですが、こじんまりと綺麗にまとまってる印象なのが、ちょっともったいなかったかなと。

 名作ホラーのリメイクながら、映画の存在そのものの異様さで印象に残った、ルカ・グァダニーノ版『サスペリア』。ドキュメンタリータッチの映像とほろ苦いドラマが圧巻の『アルファ 殺しの権利』。ダメ人間絵巻としてついつい引き込まれる『愛がなんだ』。こうして見ると本当に、自分の映画の好みが今までとは、微妙に変わってきていることに気づいたり。怪獣と爆発が大好きな永遠の小学生から、思春期の中学生ぐらいにようやく成長したんでしょうかねw

 MCUも『スター・ウォーズ』も一段落して、2020年の映画はまだまだ未知数なところが多いのですが、来年も映画を観てはあーだこーだ言える、穏やかな日々が続くことを祈っております。

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