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『羅小黒戦記』と中国アニメ映画の現在について取材しました【記事リンク】

筆者が取材と執筆を担当した特集記事「中国アニメ『羅小黒戦記』ヒットの舞台裏」全3本が、ITmediaビジネスオンラインで公開されました。ここでは当該記事のリンクをまとめつつ、記事中に出てくる映画の個人的な感想などを語ってみたいと思います。

まずは、以下の記事をお読みいただければと思います。

Twitterのほうでリアルタイムにつぶやいていましたが、筆者が『羅小黒戦記』を観たのはけっこう遅くて、2020年の正月休みになってからです。都内の劇場でロングランヒットしていたのはもちろん知っていたのですが、なにしろ2019年のあいだは1カ月近く前から予約で満席という状況だったので、なかなか観るタイミングがなかったのです。

そうしたら、筆者の故郷である徳島のufotableCINEMAで年末年始に上映されることを知り、それならということで、正月休みに実家に帰省したのに合わせて、徳島で観たというわけです。

作品に関する具体的な感想は、オレなんかが語るよりも、記事本文のインタビューで入江泰浩監督がじつに的確に語ってくださっているので、そちらをぜひお読みいただければと思いますが、自分としてはとにかく感動と興奮で呆然としてしまって、映画が終わって照明がついた後も、しばらく立ち上がれなかったことを覚えています。

そうして映画を観た後に、この作品が制作された背景や日本公開の経緯を詳しく知りたいと思って、記事を企画したところ、ITmediaビジネスオンラインさんが快く引き受けてくださって、関係各位への取材依頼などを尽力していただけたので、なんとかこうして世に出すことができました。取材に応じてくださった皆様、そして編集担当氏には、本当に感謝しています。

この記事の取材はすべて、2020年2月のあいだに行われました。この時期は新型コロナウイルスで中国の産業が映画制作・興業も含めてすべてストップしたタイミングで、こちらとしては「大変ですねぇ」と、まだ他人事の空気だったのですが。ところが記事を書き上げた時には、日本も緊急事態宣言の発動が秒読み段階という状況で、正直言ってこの記事の行方もどうなるのかと不安になったものです。

結果的に、緊急事態宣言がほぼ解除されたタイミングでの記事公開となったため、図らずも『羅小黒戦記』の劇場上映が全国で再開するのに合わせた形となり、より多くの人に反応してもらえたのではないかと思います。

今後、日本でぜひ公開してほしい中国エンタメ映画

さて。記事の前編と中編はほぼ『羅小黒戦記』の話題に終始している(中編の最後で、2019年公開の他の海外アニメについて少し触れていますが)のですが、後編では日本でまだ本格的に公開されていない中国映画のタイトルが矢継ぎ早に登場して、面食らった方もいるかもしれません。これらの作品について、アジア映画ファンの目線で少し補足しておきたいと思います。

チームジョイさんが日本配給を行っている『白蛇:縁起』は、筆者はじつは『羅小黒戦記』よりも先に観ています。『羅小黒戦記』と並行して池袋で限定公開された際に、上映回数の少なさからこちらを最優先で観たので。おかげでその後に『羅小黒戦記』を観るのは、前述のようにかなり時間がかかってしまいました。

記事本文で、中国のCGアニメとアメリカのCGアニメの比較が話題になっていますが、個人的に『白蛇:縁起』は、この2つのバランスがじつに巧みに取られた作品だと思います。なかでも、モデリングも含めたキャラクターの表現がすごく興味深くて。日本を超えてアジア共通の文化になりつつある「萌え」を、CGで表現する際のひとつのスタイルを提示している気がします。そういう面でも、本格的に日本公開されて、より多くの人に観てもらいたい作品ですね。

記事本文でも触れているとおり、実写も含めた2019年の中国映画で最大のヒット作となった『ナタ~魔童降臨~(哪吒之魔童降世)』。この作品は2019年秋に開催された「東京・中国映画週間」で上映された(邦題はこの時のもの)のですが、チケットが瞬殺で買いそびれて、自分は観られなかったのです。なので、作品的な評価はできないのですが、先にも挙げたとおり本国で大ヒットしたこともあり、いずれ日本公開されるだろうと期待しています。それにしても『白蛇:縁起』もそうですが、中国のエンタメは古典の扱いが上手いですよね。

そして最後は実写映画ながら、チームジョイの白金氏が制作に関わっているということで、半ば無理やり記事に入れ込んだ感のある『唐人街探案3』です(まさか記事のサムネイルに画像が使われるとは想定してませんでしたが)。自分は映画ファンとして、この作品にはもともとすごく期待していて。大がかりな日本ロケで日本の人気俳優が大量登場するというのもありますが、じつは筆者は2018年の「東京・中国映画週間」で前作の『僕はチャイナタウンの名探偵2(唐人街探案2)』をたまたま観ていて、それがすごく面白かったので。

このシリーズは、推理の天才である主人公と、ちゃらんぽらんな性格の叔父さんのコンビが海外でドタバタを繰り広げつつ、難事件を解決していくというフォーマットらしく。ギャグとアクションを適度にミックスさせつつ、ミステリーとしてもきっちりまとめる手際の良さが、本当に良くできているんですよ。1作目がタイ、2作目はニューヨークが舞台となっていて、自分の観た2作目ではマンハッタンを道路封鎖してアクションを繰り広げたり、タイムズスクエアを貸し切りでドタバタを繰り広げたりと、尋常じゃないお金のかかり方に絶句しました。

その流れで3作目が日本というのですから、そりゃ期待するしかないでしょう。実際、予告編を見ても都内各所でロケしている上に、栃木県に巨大な渋谷のオープンセットを作ったとのことで、本当に楽しみです。ただ、新型コロナウイルスの影響で、中国での公開が延期されており、それが決まらない限り日本公開は厳しいでしょうから、日本で観られるのはかなりさきになるかもしれないですね……うーむ。

いずれにしても、東京でもようやく映画の上映が再開されそうで、中国をはじめとするいろんな国の映画がふたたび劇場で観られることを、本当に待ち遠しく思っています。ここで名前を挙げたような映画が日本で本格的に公開される頃には、またこれらの映画に関する記事なども企画できたらと思っていますが……実現できるといいなぁ。

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