鬼滅の刃の映画を見て

鬼滅の刃の映画を見てきました。まず、ネタバレ注意を断っておきます。

アニメ26話を見た正直な感想は可もなく不可もなしと言ったところだ。そして、友達に誘われたから、映画を見てきた。結局、鬼滅の刃に対する評価は大きく変わらなかったが……

鬼滅の刃無限列車編を語る上でのキーパーソンは間違いなく煉獄杏寿郎だろう。この映画は彼の最大の見せ場として用意されたものだと言っても過言ではないと思う。映画では最初から最後まで強烈なキャラクターで圧倒的な強さと存在感を放っていた。

ただ、そんな彼は映画の最後で鬼に殺されて死ぬ。しかも相討ちですらなく、鬼を仕留め損なって逃げられる形で一方的に負けてしまう。呆気ないと言ってしまえばそれまでだが、彼が死んでしまったところでそこまで衝撃はなかったというのが正直なところだ。アニメを全部見た上で映画を見て、この感想が出てきてしまう自分に少しがっかりだし、どれだけ大スクリーンで迫力があっても、ストーリー的に感情移入しきれないのが残念でならなかった。

煉獄杏寿郎が鬼滅の刃に初登場するのはアニメの22話(全26話)だ。しかも、登場シーンは複数人いる柱の1人でしかない。鬼殺隊において最強の人たちの1人ではあるが、それまで主人公とはなんの接点も持たないという意味ではストーリー的にはそこまで重要な役割には思えなかったし、これから主人公と親睦を深めていくのだろうと思っていた。この段階で主人公と繋がりのある柱は富岡義勇だけだったし、アニメ26話全部終わったあとでも、柱の中では富岡義勇と胡蝶しのぶの2人が印象に残っただけで、ほかの柱の人たちはあくまでもその他大勢ぐらいの印象だった。そういう意味では、アニメがすべて終わった段階でも煉獄杏寿郎は大して重要なキャラではなかった。

それを踏まえて、映画が始まると主人公たちはすぐに煉獄杏寿郎に出会い、親睦を深めていく。ちなみにこの時、煉獄さんと主人公の炭治郎は2度目の出会いで、伊之助と善逸に至っては初めましてだ。ぶっちゃけ、主人公目線で見たら、ぶっちゃけよく知らない人でしかない。そして、映画の展開が進んでも、下弦の壱の鬼と戦うことになっても、炭治郎は伊之助と共闘して鬼に立ち向かうだけで、煉獄さんは「1人で後ろ5輌を担当する」と言い残して1人で鬼と戦っている。そして、上弦の参の鬼が出てきて初めて、炭治郎は煉獄さんの強さを目の当たりにするが、ここで煉獄さんは鬼に負けてしまう。

アニメ終盤から煉獄さんと炭治郎の関係を大雑把にまとめるとこんな感じだ。正直、これで煉獄さんが死んだところで、主人公視点的にはそこまで感情移入できないのだ。たしかに、柱の煉獄さんが圧倒的に強いことはよくわかったし、主人公たちがそれに強い憧れとか尊敬みたいな気持ちを持っていることも理解できる。ただ、視聴者としては、ポッと出のキャラが映画の最後で死ぬだけなのだ。ぶっちゃけ薄っぺらい。キャラが死ねば感動できるでしょ?と押し付けられているところがさらにいやだ。ここで死んだのが煉獄さんじゃなく、初回から登場している富岡義勇だったら少しは印象は変わったのかもしれない。鬼殺隊に入るきっかけを作ってくれて、禰豆子のために命をかけてくれてる富岡義勇だったら、映画の最後に泣けただろう。ただ、煉獄さんでは泣けない。

映画を見るまでは、鬼滅の刃のストーリーはとても王道だと思っていたが、こんなにあっさり人が死ぬストーリーだとは思っていなかった。ぶっちゃけ、子供向けだと思っていたが、これを小学校低学年ぐらいの子供にに見せるにはいかがなものだろうか。もちろん、感情移入できなかったからこそ、そこまでトラウマを植え付けるようなストーリーではないという意味では、子供でも見れるのかもしれないが、今後もキャラが死んでいくであろうことを考えると、あまり子供向けファミリー向けとも言えないような気さえする。そういう意味では、王道ストーリーでありながらあっさり人が死ぬというのは誰をターゲットにしたストーリーなのだろうと思った。


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