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休校中の「産地の学校」の今後の構想 (悩みあり悟りあり)

今日は「産地の学校」のリスタートに向かいながら抱えている悩みを書きたいと思います。このnoteの内容に具体性が薄いと思いますが、お時間ある方は優しい気持ちで最後までお付き合いいただき、ぜひご意見やアドバイスなどお寄せいただけると嬉しいです。

【まえおき】【現状】【悩み】の3部構成になっています。

トップ画像は、コロナショックが起きるちょっと前の2020年1月頃に構想していた『産地の学校 オンラインプログラム』の構想です。企画書の一部。

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⚪️まえおき

「産地の学校」は4つのコースを運営しながら、プログラムを各地に広げていきたい気持ちをバイブレーションさせて、計画していた尾州(愛知-岐阜)と大阪での開講になかなか着手できない日が続いていた。会場の下見や講師の先生へのご相談などはしていた。そんな中、「産地の学校」をオンラインで受講できないの?というメールやDMを時々いただくようになって、通常プログラムと並行する形でオンラインプログラムの企画準備にも入った。特に、海外の学生さんから問い合わせが入った時、オンライン上に「産地の学校」のプログラムがある必然性を感じた。

企画書にある通り、2020年5月からオンラインプログラム(まずは第1弾 【テキスタイル基礎】 )がスタートできるよう、糸屋さん、機屋さん、ニッターさんのご協力のもと、教材となる映像作りからはじめた。

しかし皆さんと同じように、3月中旬以降の予定が次々と白紙になっていき、「産地の学校」の教室講義の開講を10月まで見送ることを決定した。またオンラインプログラムのスタートも教材制作が止まったタイミングで、延期にさせてもらった。

そして長期戦となるであろうステイホームの期間、「産地の学校」としては自宅から繊維やテキスタイルのことを学んだり、楽しんでもらいたいとYouTubeチャンネルを本格始動した。今日までに40本ちょっとの動画をアップしてきた。どこまで楽しんでもらえてるかわからないけど、しばらくは続けようと思っている。

補足
東京校の教室講義は1講3-4時間の計12講のプログラム
オンラインの「テキスタイル基礎」は1講3時間の計6講のプログラム

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⚪️現状

1.対面講義について

他の学校やスクールは感染防止策を講じながら対面授業をリスタートしているところも出てきた。ただ「産地の学校」は、<講師の先生>か<受講生>のどちらかが産地と東京を行き来する事になる。産地で開講する産地校の開講は年内は難しい。東京校の教室講義は10月再開に向けて講師の先生とも打ち合わせをしているけれど、1日4時間超になる密な講義では、感染防止策を徹底することができそうもなく、開講は雲行きが怪しい。講師の先生も産地からお招きできないという課題もある  ※しっかりとしたアナウンスは産地の学校のアカウントの方で行います


2.オンラインプログラム

ならば、そろそろオンラインプログラムの方が走るのだろうと考えるのだけれど、現状、教材作りは止まったまま。やはりこの状況で撮影がしづらいというのも大いにあるけれど、撮影の再開は絶対不可能ということもない。ということは止まっている真の理由はなんだろう?

それはやはり上記、「1. 対面講義」との兼ね合い。対面講義の秋リスタートはどうも難しそうで、そうなると「12講形成の本講義の内容をオンライン開催する」という線が出てくる。想定していなかった新しいパターン。各産地の先生は各地から(場合によっては工場からモニターの前に居てもらい)、受講生はそれぞれの家からでもプログラムを受講できる。工場からレクチャーしてもらえるとか、機械の説明とかもできるだろうし、とてもワクワクする。コロナが生んだピンチをひっくり返りしてメリットを見出せてきた感じもある。「産地の学校」の本講義である12講のレギュラープログラムをフルラインナップでオンラインで行うということになる。一瞬とてもまとまったと思いつつも、僕はすぐに小さな違和感を覚えた。

⚪️悩み

この流れで悩みが発動したり、うっすらと沸いた違和感を徹底的にほじくり返すのは僕の面倒なところで、まわりの運営メンバーが呆れる瞬間でもある。

掘った結果、悩みの要点は以下の2点。

①対面講義ができなくなって完全オンラインのプログラムに切り替えた場合、『あれ、産地の学校の役割は?僕らのミッションは?オンラインプログラムでそれらがしっかり達成できるの?』という再確認。この検証をしていなかったことに気づく。

②コロナショックによる産地の工場さんから連日いただいていた連絡の内容


「産地の学校」の目的は、産業の入り口となること。就職/転職するにも情報が少なく業界が開いてないと感じる方が多い課題。そこのお手伝い。また、業界の中で働いている方にとっても「繊維産業・テキスタイル」についてしっかり学びたいという方の為の体系的なプログラム。効率的で、アカデミックと現場のズレのない活きた学びを共有すること。そしてこの学びの"場"にはポジティブで熱のある参加者が集まって、繋がりながら刺激しあい、時に協力して、次の時代を作っていくというビジョン。ここまでフリーハンドで書き殴ったけど、これが「産地の学校」が存在する意義。自分で立てたビジョンに縛られてはダメだけど、学ぶだけでなくそこにコミュニティができて参加者ひとりひとりのアウトプットや進路に繋がっていくことに価値がある。半年ごとに開講するとかスタッフが増えたり仕組み化していくと、ついつい同じ内容で開講するのが当たり前(目的)になってしまう可能性が0じゃなくて、そこには常に厳しい目を持とうとずっと思ってきた。

プログラムが緊急停止したことで、改めて「産地の学校」の役割を振り返った。録画していた講義の内容を見返し、受講生が書いてくれたアンケートを6期分すべてを読み返した。内部会議を重ねた。「産地の学校」というのはやはりオフラインのコミュニティが築く部分にも1つ絶対的な価値があることを再確認できた。

オフラインの内容をコロナの都合でオンラインにスライドして、どこまで価値を提供できるのか?意義があるのか?役割を果たせるのか?責任を持てるのか?単なる知識のレクチャーにならないか?個別のサポートは?受講生の繋がり、受講生のコミュニティは?

『産地の学校という場が日頃のモチベーションにつながった。次の一歩を踏み出す背中を押してくれた』という言葉がアンケートに1つ2つじゃなかった。

未確認疑問をしっかりを1つ1つ潰してから、オンラインに移行したいと思った。繰り返すが、「コロナだからオンラインにしました」というのが本質から離れて目的を失っているようで嫌だった。コロナのリスクを背負ってでも本質と向き合うべき事項だってある。コロナだからオンラインにして、世間的にどうやら大丈夫っぽいからオフラインに戻します。(←なんか違和感ありませんか?)

上記の答えがしっかり出るまでは、まるで現実逃避するようにYouTubeの収録に没頭した。動けない時だけど、だからこそ学びを広めたいと思った。そして単なる知識、入門知識程度であれば僕がYouTubeでいくらでも話せるとも思った。月に10回以上の産地出張がなくなった僕には時間がたくさんあった。ニーズがあればどんどん動画は出していけるし、そして講師の先生のレクチャーだって、しっかり相談と準備をすればYouTubeで配信していくことだって不可能ではない。極端な言い方だれど、単なる知識の共有であれば、YouTubeに動画を残すことがベストである。日本語が分かれば世界中からアクセスできる。好きな時に観てもらえる。僕らの配信する動画も海外からのアクセスもある。「学校」という形で「授業」をする必要は、これからますます薄くなっていくのだろう。やはり学びというのは、なによりその前後だったり環境をプロデュースしないとならない。

では、僕らが「産地の学校」をやる意味とは。受講生にとって、ここからどう世界を変わるのかという可能性とアフターコロナのビジョンと向き合わないならないと思った。学んだ先には産業がある。経済がある。未来がある。コロナショックであちこちでさまざまなものがひっくり返った。こういった現状を直視して、インプットする内容、その質、スピード感が変わってくる。もっとシビアになる。今後、講義に付き合う余裕もないという講師の先生もいらっしゃるかもしれない。

例えば冒頭の企画書にある、2020年1月に構想していた「糸」に関するマニアックなプログラム。このタイミングで超マニアックな糸の製造技術や特殊加工に焦点を当ててる場面ではないと僕は判断している。ではどこに焦点を当てるべきか?激減した工場の稼働率をどう上げられるか?糸、染め、織り、編み、整理、加工、補修、関連工場の分業制で成り立つテキスタイル産地。裁断、縫製、プレス工場。産地の企業1社1社とどんな新事業を作れるか外部目線で考えてみる。シュリンクする国内市場、何をしようか?数社集まって大きなベクトルを作って事業を展開する。ひっくり返った産業のピースを埋めていかねばならない。そういった要素もプログラムの中で考えていかないとならない。学ぶということが受け身である必要はない。

状況が変わればこうやって作っていた企画書なんて紙くずになってしまう。何度でも向き合って、最新の企画をするのが僕らの役割なんだと。

このようなことをこの数週間いったりきたり考えていたら、なかなか明文できず、「産地の学校」の開講・再開のお知らせができずにいましたが、8月26日、勢いで書いてみました。

現在、全てのプログラムがオンラインであったとしても、「産地の学校」が大切にしたいもの、提供できるならではの価値をしっかり活かす方法を探っています。少しずつその輪郭が見えてきたのでこのようにnoteに書いているのですが、正直、すべてはまだ決まっていません。

どんなに遅くても9月上旬には明確なアナウンスを「産地の学校」のウェブサイトやnoteでお伝えできればと考えています。

そしてこのnoteを読んで、アイデアやアドバイスがある方、僕との生産性のない議論に付き合っていただける方は、是非ご連絡ください。どんな展開が作っていけるか僕自身も楽しみです。

4000文字、最後まで読んでいただきありがとうございました。


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