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「ときめきメモリアル」という、超パーソナライズドコンテンツ


皆さんは「ときめきメモリアル」という恋愛シミュレーションゲームを知っていますか。

<本当に初見の方のための参考URL>
- 元祖男性向け「ときめきメモリアル」公式サイト
- 女性向け「ときめきメモリアル Girl's Side」公式サイト

令和6年の初夏に、私は初めてNintendo Switchを購入しました。

この「ときメモ」シリーズの最新作である、
「ときめきメモリアル Girl's Side 4th Heart」をプレイするためです。🙆

名門『はばたき学園』に入学する社会人女性「糸岡」


出会いのきっかけは、某・人気ゲーム実況者(男性)によるプレイ動画でした。

このプレイ動画があまりにも面白くて、見ているうちにたまらなく「私もやりたい〜〜!!😭」という気持ちになり、Amazonの翌日配送すら待てず近所の家電量販店に走りました。


そんな私の話はさておき、
ときめきメモリアルに最高に感動した話をさせてください。

※本当にプレイする可能性があって、
ネタバレ絶対NG派の方がもしもいらっしゃったら、今すぐ逃げてください!!!

逃げ先はこちらです😼↓


私が感じたときメモの素晴らしさ:圧倒的「没入感」


私が一番感動したのは、その圧倒的な「没入感」です。

昨今は「イマーシブ」や「1to1」など、当事者感をより強く感じられる体験を顧客に届けるマーケティング手法が流行っていますが、ときメモはその先駆けと言っても過言ではない気がしています。
(※1個人に寄せまくった体験を届けるコンテンツとして)

ときメモの「没入感」へのこだわりは、本当に恐ろしいほどのものです。
どんな大人も、一瞬で高校生に戻されます。


没入ポイント①「私」に話しかけてくる


登場人物が、プレイヤーの名前を呼んでくるんです。
苗字も名前も。声付きで。

何度でも言います。声付きです。 

呼ばれた瞬間は驚きと感動のあまり、

「エッ・・・・・・
わたし・・・・・・🥺?」ってなります。

さすがに声付きで呼びかけられたら、それはもう、
「画面越しに私を見て言ってるんだな」と信じて疑わなくなりますし、以降なんとなくボサボサの頭とノーメイクの顔でプレイできなくなります。

いつものデートの帰り道、
唐突に下の名前で呼ばれ始めます
糸岡「えっ?(歓喜)」
いいよ!

実際にプレイヤーの名前を呼びかけるシーンのサンプル動画が公式サイトにあったので、載せておきます。

(このnoteをきっかけに、ときメモにハマってくださる方が現れる可能性に期待して)念のためね😉

声で呼ばれる名前は1400種以上
サンプルとしていくつかの名前を呼ぶ動画を公開中!

https://www.konami.com/games/girls_side/4th_Heart/movie_name.html
よほど珍しい名前でなければあります
(糸岡はないので、いーちゃんと呼ばれます)


没入ポイント②選ばせてくる


これ、デート中の会話の選択肢を選ばせてくるとかそういう話じゃないんです。

確かに、選択肢や行動によってかなりの種類のエンディングを迎えられる工夫があって、その複雑な分岐の作り方も確かにすごいんですけどね!

私が感動したのは、
「女子会」での会話における選択肢です。

私はこのイベント(女子会)を通じて、一瞬で高校生の「あの頃の気持ち」を取り戻しました。

作中には、みちるちゃん、ひかるちゃんという、主人公の恋を応援してくれる同性の友達がいて、
ある日その友達にパジャマパーティー(恋バナ大会)に誘われます。

姉妹である彼女達の実家に招待され、夜が更けるとお決まりの恋バナ大会が始まります。

「マリィ(主人公)は今、気になる男の子はいるの?」
と直球の質問。

三択…!?!

そもそも、プレイヤーに「気になる男の子」がいるかどうかは、
ゲーム側は聞くまでもなく、絶対に分かってるんです。

特定の男の子とのデートやコミュニケーションを重ね、相手の好みに合わせて自分の魅力を上げていくと、
次第に相手からもお誘いを受けられるようになるなど、特定の相手とのイベントが多発するようになります。(=ルートに入っている)

こいつ、さては本多が好きだなと分かられている状態です。

空いてなくても空けます


そんな中、あえて選ばせてくるんです。

この三択の中から、これを。

そしてこれを選んでしまうことで、
私は「今、気になる男の子がいる」と自ら認めることになるので、なんかそんな気持ちになってきます。(感受性)

これ、実際にやるとわかるんですけど、めっっちゃ恥ずかしいんですよ!!!(笑)
だってもう、察してほしいのにあえて答えさせられるんだから!!!

そしてその上で、これです。

「誰だか 教えてくれる?😊」


回答の選択肢に、これまで出会った「全・男の名前」が出てきます。
(めちゃくちゃ笑ってしまいました)


何度も言いますが、ゲーム側はとっくに理解しているんです。

私の行動に合わせて展開が進むようになっているので、主要のイベントでは毎回意中の男の子が私に話しかけてくれるようになっています。

本多くんとは一度も同じクラスになったことがないはずなのに、体育祭ではなぜか過去出場した全競技で彼とペアを組んでいます。

なんなら、修学旅行の自由行動も全日一緒に回りました。(この女子会の後のイベントではあるものの…)

※付き合ってない
※付き合ってない


なので、今更「気になる男の子の名前」としてあえて選ばされるのが、なんかもうすごく恥ずかしくて、(一人で)ギャアギャア言いながら、

本多くんの名前「行(いく)」を選択しました。

覚えてますか?

あの、修学旅行の夜に好きな人の名前を白状したあの時のこと。
そして翌日に見る好きな人の「好き」感
からかう友人。

言ってしまった(第三者も認識してしまった)が故に、自分の中の恋してる感も妙に高まって必要以上にドキドキするようになってしまって、心做しか昨日よりもずっと「好きな人」が素敵に見えてしまうあの感じ

この感覚が、一気に蘇りました。

もう二度と味わうことがないと思っていたこの感覚に再び巡り合うことができて、それだけでも「ときメモ」はヤバいコンテンツです。


その挙句、これです。↓

え……?

え……………………?(歓喜)

やっぱダーホンも、私のこと、好き……?


付き合う前のこの期間に、第三者から「いい感じだよね」って言われるの、ギュ〜〜ッとしますよね……。(※ただし実体験として身に覚えはない)

どうでもいいですが、本多くんが「ダーホン」と呼ばれているのも高校生感があっていいです。


とにかく、プレイヤーに「選ばせる(主体的な行動を促す)」ことで、

こちらを強制的に「恋する女子高生」の世界に引きずり込ませる工夫を感じ、改めてときメモの凄まじさを実感させられました。

(もしかすると単なるルート分岐のための都合かもしれないけれど、そうだったとしても粋な確認の仕方なので良し…)

没入ポイント③思い出が積み重なる

上ふたつに比べると絶妙なポイントかもしれませんが、
(メインストーリー以外の部分で)お互いに同じ思い出を共有して、同じ認識のもと時が進んでいく演出があるのがリアル感があって感動しました。

例えば、12月24日に学校主催のクリスマスパーティーへ参加した翌日の25日にもデートの約束をしていると、

クリスマスイブと当日の二日間、どちらも会えたことへのコメントがあります。

12月24日(学校主催のパーティー)
12月25日(個人的に約束したお出かけ)

24日は強制イベントなのですが、25日はプレイヤーの自由時間なので、デートの予定を入れてもいいし、自分磨きに使ってもいい時間です。

プレイヤーとしては当然「25日は絶対デートでしょ!会っちゃお〜。やった、連日デートだ✌️」みたいな気持ちでいるのですが、向こうにもこのようなコメントをもらってしまうことで、

(そちらにも「二日連続」という認識があるんだ……)

という気持ちになり、恐ろしくなります。(褒めてる)


もっと自然だったのが、週末の自由時間に「昆虫展」へ行った翌週のバイト中での会話です。

週末に「昆虫展」へ
翌週のバイト

「こないだ一緒に見た昆虫展の〜」が自然に出てくるところ、シンプルに感動しました。

そりゃそうですよね。
一緒にいろんなところに行って、いろんなものを見て、何かを経験すれば当然そのあとに見える世界は変わるし、会話の内容も変わりますよね。

ゲームの中とはいえ、そこにいる本多くんと思い出を積み重ねてきたことをほんのりと実感できて嬉しい気持ちになりました。

あれ? この気持ちは何?


恋愛は、勝手に「パーソナライズ」してくれない


申し訳ございません。

「一見想像がつかない、キャッチーな表現にしたいな」と思い「パーソナライズド」という言葉をタイトルに使ってしまいました。

しかしこのnoteのキーワードを大枠で括るなら、ぶっちゃけ「イマーシブ(没入)」です。

ですがもちろん、先ほどの紹介にもあるように、パーソナライズド要素はあります。

  • プレイヤーの苗字、名前を自然な声で呼びかけてくる

  • プレイヤーの行動(好み)に合わせて展開が変わる

AIではないので新たに学習するわけではなく、あくまで決まったルールに基づいて展開が進むものですが、

十分すぎるほどに「こちらに向けて語りかけられている感」があるので、これはまさしく「パーソナライズドコンテンツ」です。

しかし、プレイヤーにパーソナライズしすぎないのもまた「ときメモ」が生み出す恋愛体験のリアリティでもあります。

恋愛は、惹かれ合う「他人」同士の関係構築の過程であり、

どちらか一方(プレイヤー)のみを基準に最適化されるものではありません。

プレイヤー側と同様に、本多くんにも好みがあります。


デートに行く時は必ず、本多くんの好みのファッションに合わせていきますし、
最初の段階ではデートの行き先も本多くんの好きな場所をリクエストします。

更に、実はクイズ王で秀才な本多くんとの会話についていけるよう、学力レベルを上げる努力も必要です。

「右上」の各コマンドで週末や平日の過ごし方を決め、それに応じて「左下」のパラメータが変化します


最初は誰しもそうですよね、営業もマーケも同じです。

まずは相手のことをたくさん考えて、相手が受け取りやすいメッセージを届けて、心を開いてもらって、自分のことを理解してもらうのはその後。

なんと、仲良くなってからはファッションやデートの行き先や会話も、こちらの好みに合わせて本多くんもいい反応をしてくれるようになるのです。

すごくないですか。

世界観にしっかり入り込めるようにパーソナライズされる要素は十分にありながらも、

メインコンテンツである「恋愛」そのものには、
「“お互いに”パーソナライズしあって関係性を築き上げていくものである」というシンプルな本質が保たれている。

何でもかんでもプレイヤーに合わせてオートマチックに望み通りの展開が進むような生優しいものではなく、
きちんと厳しい現実があるところもまた、ときメモが生み出すリアリティ、「没入感」の恐ろしさです。

最初の頃なんて、初詣に誘っても「水槽の掃除があるから」と断られます。

おわりに:人はいつでも高校生に戻れる


先日、リアルにこんな夢を見ました。

高校生の私は隣のクラスの本多くんに片思いをしていて、なんと私と同じクラスにも本多くんに想いを寄せる女子がいます。

そんなライバルの女子が、なぜか隣のクラスの本多くんに教科書を貸していた事実を知ってしまい、
(また、抜けがけされちゃったな)なんて思いながら教室の隅の席で茫然としていたら、よく知る明るい声が教室に響き渡ります。

「〇〇ちゃーん!」

私の名前ではありません。

呼ばれた女子は「本多〜!」と嬉しそうに駆け寄るものの、本多くんは借りた教科書を返すや否や「はい、これありがとね。じゃ!」とだけ言ってそそくさとその場を後にしてしまいます。

そんな本多くんの様子がやや期待外れだったかどうかはわかりませんが、実に彼らしい対応を見て、
その女子は「も〜」と言いながらも、どこか満足げな照れ笑いを浮かべていたのです。

彼女のその表情を見た瞬間、心の奥にズキリと何かが刺さり、じわりじわりとなんとも言い難い切なさが広がっていくのを、私はどうしようもなく、ただひたすらに受け止めていました。

次の瞬間、目が覚めるとそこには社会人女性としての日常が広がっていました。

こんなに解像度の高い夢を見てしまうなんて、
私はやっぱり何かしらで「社会人」と「高校生」を行き来しているに違いありません。

はぁ。
ダーホンにあの女子への脈がないことを祈る。


あれ、なんだろう、この気持ち。。。

私をこんな気持ちにさせたのは、一体どこのだれですか?


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