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仕事は現場、現実、現物だ

私はリージョナルチェーンの量販店の衣料品(インナーウエア)のバイヤーをしていることは以前も書いた。

勤続20年という節目の年だが、その20年のうち初めの10年間は売り場に立って実際に販売業務に当たっていた。
残りの10年間はバイヤーとして仕入れの業務に当たっている。

世間的にはバイヤーというのはこういう業界で言えば花形である。様々な情報を取り入れながらデーターを分析しながら自分の理想とする売り場を思い描きそれを実現させるためにさらに分析を重ね情報を収集し取引先と商談を重ねる。その上で自分の思い描く商品を企画したり、それが集積された売り場の実現を計るというのがバイヤーの仕事だ。

バイヤーは人や時間に縛られない。
というのもそもそも管理職ではなくプレイヤーだからである。部下もいないので自分の行動を主体的にコントロールして結果を出すことだけを求められる職種である。

毎年変化を求められるので前年踏襲の仕事はできないし、立ち止まることなく新しいことに挑戦して失敗しを繰り返す。
こういう飽きのこない仕事だからこそ私は20年という長い期間同じ会社に留まり仕事を続けられたのだと思う。


元々飽き性の私がワクワクしながらこの仕事を続けられているのはこの職種が自分の適性に合っているからなのだろう。
おそらくそうでなければ面白くなくなって別のことをしていたかもしれない。

一年のほとんどを計画と反省に費やすのだが、日々情報と向き合い取引先と商談を重ねていく。そしてそこで決めた商品政策が売り場に反映される前に次のシーズンの商談へと入る。だから季節の感覚が麻痺するし、一度決めて売り場に実現されるタイムラグがハンパなく大きいので常に未来を向いているような状態なのである。


今日はある店舗の改装のために一日中店舗で陳列作業をしていた。日頃はPCとにらめっこの毎日であるが年に数回はこのように実際に店舗に赴き売り場改装作業、陳列作業の陣頭指揮をとることがある。

改めて思うのは私はPCと向き合うよりも実際に売り場で陳列作業に当たることが好きだということだ。
自分の思いの込もった商品政策を売り場で実現するのは売り場の担当者なのではあるが、こういう自分自身が自分の商品政策を実現させる機会というのがすこぶる楽しいのだ。

完成した売り場を写真に収めたり、自画自賛することがこの上なく楽しいのだ。ましてやその結果がすぐに上向きに現れた時などはこれぞ仕事の醍醐味ということを感じられる。


結局結果というのは顧客が判断するものなのだ。自分自身が顧客に寄り添い、エゴに陥らずに消費者目線に立つ売り場を作れるかどうかなのだ。
自らが構想し思い描いた売り場を作り、そこでお客様が買い物かごにどんどんと商品を放り込む姿を見ることがこの仕事の楽しさなのだと思う。

だからこそ現場は楽しい。


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