一人男の娘AC-12:早稲田大学女装研究会とは何だったのか

ティーカップ横綱 一人 Advent Calendar 2020 十二日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/5488

一昔前、人前で女装をするという行為は認められ難い行為だった(今もそうだし、今後も別の理由でそうなっていきそうではあるけど、まだマシだと思う)。加えて、そういった趣味や思考があることを公言しにくい状況が続いていたので、人から情報を得ることも難しかった…のだろう。なんだってそうだが、そういった時に人は同好の士を探そうとする。その一種が例えばある特定の土地に集結すること(新宿二丁目など)であり、またその逆に近隣で密かに同じ趣味を嗜んでいる人間と交流会を開くことである(サークル)。

僕はかつて早稲田大学を志望校にしていた。なぜならそこには「女装サークル」があったからである。しかし、現実には今早稲田大学には通っていないし、そもそも今の早稲田大学にそんなサークルは存在しない。では僕が受験期に見ていた「早稲田大学女装研究会」とはなんだったのか?受験期のストレスで見ていた幻に過ぎなかったのか?というかそもそも「女装研究会」とは何を研究するのか?インターネット上に残る僅かな手がかりから、その謎について追っていきたいと思う。

まず、女装研究会とは何なのか

字面的にはサークルメンバーが女装していることは確かなのだろうが、一口に女装と言っても、コスプレ系なのか日常系なのか、埋没に関してだったりメイクや服の購入先、親に対するカミングアウトなど研究しなければならない対象はとんでもなく多くあると思われる。ではその研究会では一体何を研究しているのか。ネットで適当に「大学 女装研究会」で検索をかけたところこのような論文が見つかった。

https://ci.nii.ac.jp/naid/40004860273

「なるほど、研究会と言うからにはこういった研究をしているのだろうな」とは、誰も思っていないだろう。なぜなら世の中の「研究会」と名の付くサークルのほとんどは、そもそもそのテーマに対して「研究」を行っていないというのが共通認識だからである(例:広告研究会)。

ということで論文ではなく、現存している女装研究会なり異性装研究会なりと名の付くサークルについて調べてみようと思ったが、調べる限りどこも早稲田大学と同様にサークル自体が消滅しているという有様。

たとえば、大阪市立大学にはかつて「異性装研究会」が存在していたらしい。

インタビューではウィッグの手入れが大変という至極普通の回答をしていたり、セクマイと異性装は違うというさりげにいいことを言っていたりはするものの、肝心の会の活動内容が何もわからない。

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ということで同研究会のウェブサイトを閲覧したところ、対外向けにバレンタインにチョコレートを送る企画と女装体験会というのをやっていたことと、普段は化粧の練習会と一緒に服を買いに行くといったことをやっていたらしい。研究というからには男女別の骨格の違いなどを意識したメイクの方法や、「服を買いに行く服がない」現象への解決の指針などについて検討がされているのかどうか気になったが、それらの点についてはよく分からなかった。まあどっちも今ではネットの情報だけで事足りる場合のほうが多いので役目を終えた、ということなのだろうか。Twitterアカウントもあったが完全にbotかつ2年前からついにつぶやきすらしなくなっている…

他には上智大学に「男の娘研究会」なるサークルがあったこともわかった。こっちも止まっていた。「2次元から3次元まで幅広く扱います。 」との触れ込みで、現実での女装に向けた講習会の他に2次元作品のレビューなども行うという触れ込みだったようだが、「やりたいですね」的なブログ記事が多く、実際どのぐらい活動していたのかは不明。教室を貸し切って講習会を一度やってはいたようであるが…

こっちもTwitterがあるが、鍵垢になっていた。二度と外れることはないのだろうな…

しかし、ブログ記事に出ていた他大学の女装サークル、特に名指しで出ていた東洋大学のそれについてググっても全然出て来ないのだが一体本当に存在していたのだろうか…?

肝心の早稲田 ~2013

結論から言うと、現在のネット上で確認できる早稲田大学の女装研究会というのには2種類ある。2008年頃には既に活動しており2013年頃に一旦活動の幕を引いたと見られる「第1期女装研究会」と、2017年頃から復活し2018年頃には既に消えていた「第2期女装研究会」である。部外者のツイートなどを根拠としているためにこの説を押し通すのはためらわれるのだが、2013~16頃までツイッター上に女装研究会が活動している旨のツイートが見られないことからしてこの節で間違いないと思われる。

で、「第1期女装研究会」については、意外と現存する情報量が多い。例えば2008年の時点で既に存在し、教育学部のmixiで新歓コンパのお誘いを投げていたことがわかる。かなり行動派だな。不適当なら削除お願いしますとのことだったが12年以上経つ現在でも残っているということは適当だったのだろう

また、2009年には女装研究サイト(ガチ)の「アルテミス」から取材を受けてたり、テレビ番組「ありえへん∞世界」で特集されていたりしたことがわかる。そこでは創設者の勝川博史氏が早稲田大学の「100キロハイク」をきっかけに女装を始めたことや、サークルとしての活動より個人で活動している人間のコミュニティ的な趣が強いことなどが語られている。「表現をすることが大切で、表現をしていない人には何を言っても説得力がない」…手厳しい言葉である。一方、よくも悪くも勝川氏のカリスマでサークルが維持されていた、ということなのか、これ以降の年度で特に新規の情報というものはない。どうやら昔はYOUTUBEにも動画が上がっていたようなのだが見つけられなかった…

ちなみに今勝川さんが何やってるのかも分からなかった。

肝心の早稲田 2017~

で、一旦潰れたかに見えた早稲田大学女装研究会であるが2017年頃から復活の兆しを見せている。ツイプロを見る限りは約4年前からTwitterを再開しており、またマイルストーン編集会(早稲田大学の出版サークル)を見る限りは2016年の12月にはサークル登録をすでにしているようであることが判明した。

で、肝心の活動内容についてなのだが、やっぱりわからない。サークル内事情について書いてあるツイートや、「その人達が来た!」みたいなツイートはあるので存在していたことは確かなのだが…

サークルのTwitterはいま、こうなっている。

Screenshot_2020-12-12 (10) プロフィール Twitter

一体何で解散してしまったのか。上のツイートなどを見る限り部員は結構いたようであるし説得力のある理由としては「痴情のもつれ」しか想像がつかない。

…waseda.josou@gmail.comにメールすればなにか返ってくるだろうか。

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