一人男の娘AC-4:揺れてる定義

ティーカップ横綱 一人 Advent Calendar 2020 四日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/5488

書けば書くほど自分の引き出しの少なさに辟易するアドベントカレンダーもこれで4日目。また遅刻しました。しかも悪化してます。

そもそも「男の娘」とは一体何なのか。ぼくが研究者である場合そこの定義についてはっきりさせておかないとどんな長文だろうと無価値になってしまうわけですが、実際自分もわかっていない…

そうなんです。定義が定まらない。人によってそもそもこの言葉に触れる機会がある場所が違うのです。というのも先日受けた授業で何故か授業中に「男の娘」について教員が話題に出してきたのですが、そこでの「男の娘」の文脈は、「現実世界で(生活実態や性自認は関係なく)女装している男性の中でも容姿が淡麗(美少女的)で若い人」みたいな感じで、二次元ゲームとかの文化には全く触れていないのが印象的でした。僕は「そういう解釈もあるのか~」と思いながら聞いていたのですが、TAの方が「そもそも二次元の文脈で使われていた用語では?」みたいなことを横から仰っていたりして、結局定義についての話に僕も参戦し、授業の終了時刻が2~3分遅れました。みなさんすみませんでした。

で、僕の「男の娘」に対する定義については最後に述べるとして、まず世間一般ではどのような存在を指して「男の娘」と言っているのかについてググってみました。

ウィキペディア

男の娘(おとこのこ)は、男性でありながら娘のような女性にしか見えない容姿と内面を持つ者を指す言葉。現在では内面に関係なく、女装行為を行う男性の自称として広い概念で扱われており、女装行為を行う男性自身が名乗るケースも多い言葉となっている。ただし元々、外見が女子に見える事が男の娘とされる為、第三者から見て女子に見えるかどうかが重要である。(中略)要はオカマである。

まあ、こんな定義ですよね。ただ「女性にしか見えない容姿」の含む範囲が首の上下どっちまでを含むかのかについてちょっとわからない気もしますね…「骨格で男だと分かるような人を男の娘と呼ぶべきだ」という意見もなくはないので。あと、出典先で内面について書いてなかったので多分独自研究だと思うんですけど。内面というより言動といったほうが良いかな~とも思わなくもない。

ニコニコ大百科

男の娘(おとこのこ)とは、主に容姿が女性にしか見えない少年、青年への萌え要素を指す。「萌え要素」は、生物学的な性別・戸籍上は男性であることが確認された上で、容姿などが「美少女」と認識されるところにある。

あくまでもめがねっ子みたいな「萌え要素」の一つとして捉えており、ウィキペディアでは許容されていた女装家などの”個人の属性”としての意味は存在していないという解釈を取っているようである。

ピクシブ百科事典

外見が「娘」と呼べる程に可愛らしい男性(男の子)。


簡潔だな。まあピクシブにイラストとして投稿されている「男の娘」って罰ゲームで女装させられている男子とかも含むので内面云々とかは外しておいたほうが便宜が図れるというのはありそう。

アニオタWiki(仮)


大ざっぱに言うと「オカマ」のこと…
ではない。
「オカマ」は主に「女性のような身なり、言動をする男性」を指す言葉として昔から使われてきたが「男の娘」は本人が望む望まないに関わらず、また女装するしないにかかわらず「少女に見える少年」に対して用いられる言葉である。
男の娘と呼ばれるかは他者からどう見えるかが重要なのであり、呼ばれる本人の主観や内面は問われない。
そのうえで、本人に女装の自覚があるか、女装しているならそれは本人の意思か、本人の自覚している性別はどちらか、恋愛対象としている性別はどちらか、外見にコンプレックスを持っているか…などの要素で細分化でき、それぞれにファンがいる。(後述の「主な派閥」を参照)。
これらを十把一絡げに「オカマ」と呼んでしまうのは、あまりに乱暴だろう。
女に見える=外見上男性的な特徴(体毛など)が無いことは必要条件のため必然的に年齢が低く、成人しているケースは稀。というか「娘」なのか?という疑問の的。
それゆえ「ショタコン」とは対象が被ることもあるが、「年齢」と「性別」の軸の違いがあるため別物。

この下に各サイトの定義が貼られていたりする。要するにこのページとやってること同じである。

はてなキーワード

アニメやマンガなどにおける、いわゆる「女装少年」のこと。最近では、実世界の三次元でも用いられるようになり、男の子でありながら女の子にしか見えない容姿や性格を持つ少年のことも指す。性的にヘテロかホモであるかは、問われない。

ウィキペやニコニコみたいに容姿以外のことが関係していることは完全に捨象しており、容姿単体に絞っている節がある。意外と学者肌?


えー、これだけだとアニオタWikiの劣化版なので、「男の娘」について取り上げているニュース記事や論文、本からも引用してみます。

男の娘の深層心理 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

外見や雰囲気が女の子のような男性は最近、「男の娘(おとこのこ)」と呼ばれています。私が子どものころと違い、「男の娘」たちはじょうずなコーディネートで女の子のように装うので、男性だと気づかないこともあります。「男の娘」は見た目が女の子のようであれば、実年齢は関係ありません。知りあって10年近くになる私の友人の「男の娘」は、見た目はずっと変わらず、女の子のままです。(中略)「男の娘」は、メイドカフェが流行していた2000年代中頃の秋葉原で、見た目が女の子のような男性がメイドさんに扮したイベントから派生した言葉です。そのため「男の娘」には、メイドさんのような「萌え」や「可愛らしさ」、つまり大人の女性らしさではなく、女の子らしさが重視され、性的な雰囲気は抑えられています。私が知る「男の娘」たちに限って言えば、身体は男性であり、自分は男性だという認識もあります。恋愛対象も、異性である女性です。つまり彼らは、私たち一般男性となにも変わりがありません。言葉づかいも、女言葉を話すわけではありません。

完全に三次元の話に絞って書いている記事もあります。そんなイベントあったんですね。

「オトコの娘」って意味をきちんと理解できていますか

100人いれば100通りのオトコの娘萌え像がある。

この記事タイトルなのに定義っぽい部分がここにしかない。ふらついた状態で話してるすぎる。

イミダス

「男の娘」などとも書く。マンガ、アニメ、ゲームなどに登場する、女の子にしか見えない男の子を指す。「メガネっこ」や「ツンデレ」などと同様の「萌え属性」とする人もいる。2010年4月24日、一迅社がコミックやイラストから特集、情報ページまで、全編「オトコの娘」をテーマとした季刊誌「わぁい!」を創刊。発売に先立つ3月23日には東京のJR秋葉原駅に、「こんなかわいい子が女の子のはずがないじゃないか!」というキャッチコピーのついた電子ポスターも登場した。このジャンルを世に広めたのは江口寿史の「ストップ!!ひばりくん!」(「週刊少年ジャンプ」、集英社、1981~83年)とされる。美少女にしか見えない男の子「大空ひばり」を中心としたラブコメで、後続作品に大きな影響を与えた。2005年に恋愛アドベンチャー「処女はお姉さまに恋してる(おとめはボクにこいしてる)」(キャラメルBOX)と、「はぴねす!」(ういんどみる)が発売されたあたりから、ブームが再燃。10年は、2月に「ひばりくん」が27年ぶりに完結(小学館クリエイティブ刊)。「処女は~」も4月にPSP移植版(PS2移植時「乙女はお姉さまに恋してる」に改題、アルケミスト)、6月に新作「2人のエルダー」(キャラメルBOX)が発売される。現実世界への浸透も盛んで、ここ数年女装のハウツー本が次々に出され、「オトコの娘」のメイドカフェも登場。10年4月1日には「萌えっ子フリーきっぷ」を発行する北海道の沿岸バスが、エイプリルフール企画として「オトコの娘フリーきっぷ」というジョークをホームページに掲載した。

ジャパンナレッジをこんなことに使うな。新語・流行語の扱いらしく、”2010年”の情報がやたらと多い。そう言えばそんなフリーきっぷもあったっけ…「絶対領域」がどことか言っていたページのような気がする…なお、他に出てきた結果の大半は「関所を破った男の娘」みたいな古典の物語解説の一部分を恣意的に切り取った結果出てきたものぐらいしかなかった。

「男の娘」たち

「男の娘とは、生まれたときの生物学的性別が男性だった”トランスジェンダー”のことである」 

トランスジェンダーと聞くと医学的フレームの「性別違和」などを思い浮かべるかもしれないが、広義にはクロスドレッサー(異性装者)からトランスセクシュアルまで含んでいる、という作者の認識の元この語選択がされているらしい。

…と以上を見てきたが全然安定していないことがわかる。ただ、少なくとも言えるのは「やたらと見た目が重要視されている」ことと、「二次元と三次元の語の意味などの分断はどちらかが完全に語られないほどである」ということだけはわかった、ような気がする。

最後にnoteで「男の娘」の定義について語っていた人の記事を貼ってお茶を濁す。なおものすごく定義を書いていそうな「オトコの娘ラヴァーズ!!」については、明確に引用できる部分がなかったので割愛した。強いて言うなら一冊まるごとです。


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