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間口が広く、奇想天外。 ”NieR:Automata”名作分析 第一回

名作分析とは?

主に一つの作品をピックアップして、その作品の何が評価されているのか
について分析、解説するコーナーです。
筆者がゲームを主に取り扱っているので、ゲーム中心の話になります。
できるだけタイムリーな作品を取り上げたいと思っています。

今回取り上げる作品は、Switch版の発売やアニメ展開などを控えているため、ネタバレを極力避けています

NieR:Automata 高評価のポイント

・初心者からゲーマーまで、誰もが楽しめる難易度の設定
定義サレテ、マタ崩サレテ、

NieR:Automataとは?

NieR:Automata (ニーア オートマタ)
スクウェア・エニックスプラチナゲームズが開発を手掛けるアクションRPG。クリエイティブディレクターのヨコオタロウ氏の作家性が色濃く反映されている。PS4,5 steamなどで配信中の他、
Switch版の発売を2022年10月6日に控えている。


初心者からゲーマーまで、誰もが楽しめる難易度の設定

敵である機械生命体との交戦時に、操作キャラがかなり激しい動きをしているので、一見すると難しそうに見えるこの作品。

でも実際に動かしてみると、そこまで忙しく操作しているわけではないのにキビキビとキャラが動いてくれる

簡単な操作でド派手な攻撃を放てる。実に爽快だ。

このあたりは、さすがアクションに定評のあるプラチナゲーム”ズ”といったところだろうか。

NieR:Automataでは、

誰もが楽しめるアクション

が楽しめる。

余談だが、本作のキャラクターデザインは、キャラクターを動かして楽しみたいと思わせる動機として特に強く機能していると感じる。


そして、このアクションには、まだ秘密兵器がある。
それは、

自動攻撃(オートアクション)機能

だ。

この機能は、難易度イージーの時のみ使用可能な機能で、敵と交戦すると、敵に近づくだけで勝手に攻撃してくれたり、敵の攻撃を勝手に避けてくれたりする便利な機能だ。

しかも、アクションの種類ごとに自動化するか否かを自由に選べるようになっている。近接攻撃は自分でやって、射撃と回避は自動でやってもらうなんてこともできる。

この機能によって、
普段アクションゲームをあまり遊ばないという人でもアクションを楽しめる設計になっている。


逆に、アクションゲーム大好きで、手に汗握る歯応えのある戦闘を楽しみたい人には、難易度ベリーハード。言い換えると、一発でも攻撃を喰らうと即死モード でスペランカーになることができる。


そして、このNieR:Automataの思い切ったポイントは、

やりこみ要素である実績の解除の条件に難易度の項目がない

ことだと私は思う。

本作の難易度が、ゲーム中にいつでも切り替えられる仕様になっているから実績に難易度の項目が設定されていないのだろう。

では、なぜいつでも難易度を変更できるようになっているのだろうか。

おそらく、
プレイヤーが自分のゲームの上達具合に合わせて、
プレイヤー自身が最も楽しめる難易度にいつでも設定することができる
ようにするためであろう。


以上のことをまとめると、NieR:Automataでは、
プレイヤーにとことん寄り添った難易度設定
が実現されていると言えるだろう。

定義サレテ、マタ崩サレテ、

NieR:Automataの魅力はアクションだけにとどまりません。
NieR:Automataの持つもう一つの魅力。それは、

常に驚きを提供してくれること

ゲームを遊ぶ動機となるストーリーに、沢山の驚きが含まれているのだ。

ストーリーというと一部語弊があるかもしれない。
そのストーリーを引き立てる演出に驚きが多分に含まれているのほうが正しいか。

NieR:Automataは驚きの作り方が面白い。

NieR:Automataは全力でNieR:Automataはこういうものだと自分自身を定義してくる。でも、NieR:Automataは自分が定義したものを壊す。そしたらまた、NieR:Automataを再定義して…
これを繰り返す形で、プレイヤーに驚きを提供してくる。

私たちは、定義と破壊の螺旋に囚われ続けているのだ。


例を挙げよう。

NieR:Automataのカメラワークは、操作キャラの背中を追従するようなカメラワークだ、とはじめは定義されている。でも、そんなカメラワークで暫く遊んでいると、いきなりカメラが上からの見下ろし視点になって自由に動かすことが困難になる。初見なら間違いなく驚くはずだ。

そして、NieR:Automataではたまにカメラが固定される、と再定義されると、今度はカメラが横視点に固定された上に、操作キャラからとてつもなく離れた位置に固定されることで、プレイヤーは、”見ずらいわw”って言いながら驚くことだろう。

NieR:Automataはこういった定義と破壊の繰り返しで構築されている。

しかも、この定義と破壊を自然に行っているのがNieR:Automataだ。

NieR:Automataがオープンワールドを採用した理由
定義と破壊をシームレスに行うことでプレイヤーを驚かせるため
だと思っている。

また、この自然さをより感じさせるための工夫として挙げられるのが、
音楽の切り替えのスムーズさだと思っている。


NieR:Automataの破壊表現にはメタフィクション的な表現も多分に含まれているが、それらの表現を

”設定”という形でうまく世界観に組み込むことで自然に見せている点

も非常に面白い。

メタフィクション色の強い作品は、自分自身がゲームであることを強く主張してくる作品が多いが、NieR:Automataがあまりそう感じさせない理由にはこういった部分があるのではないかと思っている。


まとめ

NieR:Automataは、
誰もが楽しめる難易度設計で間口を広くして、
定義と破壊を用いた奇想天外な表現でプレイヤーを楽しませた点
が強く評価された。

ちなみに、NieR:Automataは、エンターテイメント性が高く、ゲームのNieR:Automataでしか味わえない要素も多いので、是非一度遊んでもらいたいなと思っています。


筆者のぼやき

できるだけタイムリーな作品を取り上げたいけど、今月は、NieR:Automataだけでなくペルソナ5もSwitch版来るし、聖剣伝説 Legend of Manaもアニメ始まるし、ゲームゲノムで上田文人作品取り上げられるからICOも話したいし…
エンタメ業界働きすぎでは?

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