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私達が諦めると、認知症の利用者さんの人生が終わる

認知症が進むと、中核症状(記憶障害、見当識障害、失行、失認、遂行障害、言語障害、判断力・注意力の低下など)から自力で生活出来なくなる。
これは、生きていけなくなる事と同じだ。

家族や地域の力を借りて、生きていけるうちは地域で生活出来るが、それでも無理になると施設へ入所して来る。

ある認知症の方は昼夜逆転で、いつも夕方近くに起きて来ていた。
朝、声をかけに行くと「まだ寝る」など言い、あまりしつこく言うと、機嫌が悪くなり、手が出る方だった。
毎日、ご飯は、1食か2食。水分は、500ml以下だった。
このままだと、脱水、梗塞など、何かしらの病気を発症する可能性があった。

いつの頃からか、スタッフは、利用者さんに恐怖を抱き、起こしに行くのをためらうようになった。でも、あるスタッフだけは、出勤時に、怒られながらも、起きるよう声をかけに行った。
いつか殴られるかもと恐怖を抱きながらも、毎回、出勤時は利用者さんの元へ行った。
殴られそうになっても、暴言を吐かれても、出勤時は毎回毎回、諦めずに声をかけに行った。

初めは、全く起きてくれなかったが、機嫌が悪くても、徐々に起きるようになり、最近では、自ら時間になると起きて来るようになった。
そのお陰で、日常生活にリズムができ、昼夜逆転も治った。

もし、そのスタッフがいなければ、もしかしたら、その認知症の方は、今頃、梗塞を起こしていたかもしれない。
もしかしたら、死んでいたかもしれない。

諦めない。
諦めたら、その人の人生は終わる。

改めて、そう思った。

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