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物事の結果を考えてから行動することの重要性

今日の言葉

イソップ寓話より引用

9)井戸の中の狐と山羊
狐が井戸にはまり、上る手だてがなくて、止むをえずじっとしていた。 そこへ喉の渇いた山羊がやって来て、狐を見つけると、そこの水は旨いのか、と尋ねた。 狐は奇貨居くべし、と水を褒めちぎり、甘露!  甘露! と言うばかりか、山羊にも下りて来るよう勧めた。 山羊は、その時はただ飲みたい一心で、後先のことも考えず跳び下りて来たが、喉の渇きが収まるや、狐と共に上り方を考えはじめた。 すると狐は、二人が助かるための妙案を思いついた、として言うには、 「もし君がその前足と角とを壁にもたせかけてくれたら、僕が君の背中を駆け上って、君を引っぱり上げてあげよう」 山羊が狐のこの第二の勧めにも喜んで従ったところ、狐は山羊の足から背中へ跳び上がり、背中から角へとよじ上って、井戸の天辺まで上って来ると、そのまま「さようなら」をしようとした。 約束が違う、と山羊が文句を言うと、狐は振り返ってこう言った。 「そこの山羊君、君にもしも顎の鬚ほども思慮があったなら、上り方を考えるまでは下りて行かなかったろうに」 このように人間の場合でも、思慮ある人はまず物事の結果を考えて、それから取りかからねばならない。

【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】

物事の結果を考えてから行動することの重要性

近年、投資詐欺が横行しています。

詐欺師から「あなたの資金が何倍にもなる」という魅力的な投資を持ちかけられ、軽率に資産を投じてしまうと、結局すべてを騙し取られてしまいます。

この構図は、イソップ寓話「井戸の中の狐と山羊」に描かれたものと酷似しています。

狐が「甘露」と称した水を餌にして山羊を井戸に誘い込み、最後には狐だけが逃げ出すという筋書きは、まさに現代の投資詐欺と同じです。

人から誘いを受けたとき、または新しいことを始めようとするとき、それが「美味しそうな話」の場合、その背景やプロセス、そして結果を慎重に考慮してから判断・行動することが極めて重要です。

そうしなければ、寓話の山羊のように容易に騙されてしまう危険性があります。

イソップ寓話が書かれた約2600年前から現代に至るまで、騙す側の手口も騙される人の心理も本質的には変わっていないように感じます。

イソップ寓話集 の「井戸の中の狐と山羊」を読んで、そんなことを感じました。

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